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第五十八話

シュガールさんとベンガルさんがそれぞれの街に帰っていった。

海岸舞台に残った俺達も、宿屋に帰ろうとした時、ユウ先輩が話し初めた。


「わりー、流石に、今回は全力出したから、もう体力が無くなったわ。すまんが宿屋まで運んで・・・」


ユウ先輩は話の途中で声が聞こえなくなったと思ったら寝てるよ!まあ、それだけ疲れてるんだろうな。


「師匠、寝ちゃってます」


「流石のユウ先輩も疲れたのでしょう。私が背負うので宿屋に戻りましょう」


「了解っす!」


ノリ先輩がユウ先輩を担いで宿屋に向かった。宿屋のベットにユウ先輩を寝かせてノリ先輩が話す。


「マシロ、ユウ先輩の様子を見ておいて下さい。起きたら一緒に、ご飯でも食べて来て下さい」


「分かりました。ノリ師匠!」


「ダイは私と少し外に行きましょう」


「へっ?了解っす。何か買い物っすか?」


「ええ、そうですね。ユウ先輩が起きる前に済ましましょう」


「分かったっす。じゃあ、行こうっす!」


そのまま、ノリ先輩と宿屋の外に出た。ノリ先輩の後をついて歩いていくと海岸舞台に戻って来た。


「ノリ先輩、此処に何の用っすか?」


「ダイ、今日の戦いを見てどう思いました?」


「どうって?オロチやセッショウはヤバいなって事っすか?」


「それはそうですが、私が言いたいのはユウ先輩の事です」


「ユウ先輩っすか?」


「ええ、今回の戦いもそうでしたが、どうもユウ先輩は自分が前線で戦って、私達をあまり戦闘に参加させない様にしている気がするのです」


「それは、俺も感じてるっす」


「ユウ先輩は、昔から責任感が強い人ですからね。私達を無事に元の世界に還す為に自分を犠牲にしている感じがします」


「そうっすね」


「ダイはこのままでいいと思いますか?ユウ先輩だけに頼って元の世界に還る。本当にそれでいいのかと最近考えるのです」


「・・・それは俺も考えてるっす。このままユウ先輩だけに負担させていいのかって」


「私は、このままでは駄目だと思います。いくらユウ先輩が強くても一人だと限界は必ずきます。ユウ先輩は無敵ではないですからね」


「・・・そうっすね。実は、この世界に来たばっかりの時に盗賊に襲われたじゃないっすか」


「ええ」


「あの時、ユウ先輩が盗賊を殺したじゃないっすか。あの後、ユウ先輩一人で吐いていたっす。当たり前っすよね。あんな経験した事無いっすから」


「そうでしたか、あのユウ先輩が吐くほどつらかったのですね」


「アレを見て思ったっす。ユウ先輩だけに任せてたら駄目だって。俺もやってやるって」


「・・・そうですね。私達ももっと力をつけて、ユウ先輩の後ろではなく、横に立って、一緒に進まないと行けませんからね」


「勿論っすよ!俺もやるっすから!」


「ええ、頑張りましょう。では、ユウ先輩が起きたらお腹減ってるだろうし、ご飯でも買いに行きますか」


「了解っす!」


ノリ先輩も今回の戦いで思う事があったのだろう。

俺もユウ先輩と一緒に戦えるようになろうと、改めて決意するのであった。



・・・何処か分からない場所・・・


「あら、帰ってきたのかにゃ?」


「ええ〜、ワガママ坊やを〜連れて帰りました〜」


「くそ!松山遊星め!覚えておけよ!」


「あらら、オロチその手はどうしたのかにゃ?」


「あの〜異世界人に〜やられたんです〜」


「やられてない!俺が見逃してやっただけだ!」


「へー、あの異世界人かにゃ?以前はそこまで強く無かったと思ったけど、やるにゃあ!」


「ええ〜私と〜戦った時より〜強くは〜なってましたね〜」


「セッショウ!貴様が来なければ俺があの異世界人を殺していたのに!」


「へぇ、面白い事を話しているね。私にも聞かせてくれないか?」


暗闇から現れた男。この場所にいないはずの男の登場に三人は驚きながら跪いた。


「にゃー!こんな所にくるにゃんて!呼んでいただければすぐに行きますのにゃ!」


「ええ〜、私達は〜御館様の〜配下なのですから〜」


「ありがとう。しかし、君達は私の配下では無いよ。私達は同じ目的の為に動く同士なのだからね」


「勿体ないお言葉にゃ!」


「それでオロチ、怪我の方は大丈夫かい?片腕が無くなってるじゃないか」


「はっ!この程度大したことありません!」


「よかったよ。今君を失う訳にはいかないからね」


「!!ありがたきお言葉。しかし、一つお聞きしてもよろしいでしょうか」


「いいよ、なんだい?」


「貴方様は私が負けると思って、セッショウを迎えにこさせたのですか!私はそれ程信用が無かったのですか!」


必死の顔で男に詰め寄るオロチ。それを見てセッショウが、右腕を大きく獣化し鋭い爪で攻撃しようとするが、男が手を上げて止める。


「そんなことないよオロチ。私は君達を信じているさ」


「ならば、なぜ!」


「君を連れ戻した原因はコレさ」


男は、オロチが持っていた、物を取り出し答えた。アレは先程の戦いでオロチが天に掲げた物だ。


「コレがどうしたのですか?」


「実は私の作ったコレに不備があってね。このまま使って、君に何かあってはマズイからセッショウにお迎えを頼んだんだよ」


「で、では私が負けると思った訳では無いと」


「当たり前じゃないか。オロチ、君が負ける訳無いと私は信じているよ」


「あ、ありがとうございます」


「さあ、オロチは早く治療をして腕を治してくるといい。腕が治ったらまた仕事をお願いするよ」


「分かりました。では失礼します」


「ネコショウはオロチの治療を頼むよ」


「任せて下さいにゃ!」


オロチとネコショウが去った後にセッショウが男に語りかける。


「お優しいですね〜コレに〜欠陥なんて〜無いのに〜」


「彼にはまだ働いて貰いたいからね。それに、まだ幻魔解放は早いと思うんだよ。多分、彼自身が耐えられないからね」


「そうですか〜私はこの後〜どうしましょうか〜」


「君にはさっき任務を頼んだからね。少し休むといいよ」


「ありがとうございます〜。御館様〜では〜失礼します〜」


三人が消えた後に、男は一言呟いた。


「異世界人か。彼等も私と同じ思想になってくれれば嬉しいな」


男は暗闇の中に歩きながら更に呟く。


「ただ、もし、邪魔をするなら・・・仕方ない」


不穏な事を呟いて暗闇に、消える男。彼のいう思想とは一体何なのか?

ダイ達の知らない所で何かが動いている。

果たして彼等は無事に日本に還れるのか!

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