百話
ユウ先輩の技伝授も終えて、俺達は昼食を食べて街を出る準備をしている。
特に問題もなく宿屋を後にし、街を出るとホグジラさんが待っていた。
「師匠!本当に色々とありがとうございます。アイテムをゲットした暁には、またこの街によって下さい!歓迎しますよ」
「おう、帰りに寄らせて貰うぞ!お前が約束を守ってるのかを確認したいしな!」
「ユウ先輩、約束ってなんすか?」
「んー?別に何でもいいだろ?秘密だよ、秘密!」
「ふふ、そうですね。俺と師匠の秘密です」
その言葉を聞いてマシロが頬を膨らませてユウ先輩に近寄る!
「師匠!秘密ってなんですか!私にも教えて下さい!」
「いてて、マシロ。やめろって!分かった、後で教えるから!」
「本当ですか!約束ですよ師匠!」
「ああ、約束だ」
その様子を見ていたホグジラさんが大笑いしている。
「ハッハッハ、あの強い師匠も、姉弟子には勝てませんか!いやはや、師匠の言う通りですね」
「うるせーホグジラ!お前も約束破ったら、マシロに説教してもらうからな!」
「それは怖いですね。精一杯約束を果たしますよ!」
そう言ってホグジラさんはユウ先輩に手を差し出した。ユウ先輩はそれに答えて熱い握手を交わす!
「じゃあな!ホグジラ!我が弟子よ!達者でな!」
「はい!我が師匠!再び会えるのを楽しみに待っています!」
そうして俺達はエクスブラックを出ていった!けど、この後、何処に行くんだろ?
「モイラさん、次は何処の街に行くっすか?」
「次は、ここから約五日程の所にあるヴィサスブルーですね」
「ちなみにそこにダンジョンはあるのか?」
「いえ、ありません。ただ、ヒバカリが立ち寄ったと言う話を聞きましたので、一応確認をしたいと思いましてね」
「了解!まあ、のんびり行こうぜ」
「ちなみにヴィサスブルーってどんな街っすか?」
「ヴィサスブルーは魔術の盛んな街ですね。あそこの十ニ守護獣は恐らく街で一番魔術の長けた者がなるハズです」
「ちなみにモイラはどんな奴か知っているのか?」
「一応、知っていますが結構前の話なので変わっているかもしれませんね」
「ふーん。まあ、俺達には関係ないし、今度の街はゆっくりしたいな」
「どうでしょうかね?ユウ先輩ですから」
「ユウ先輩っすからねー!」
「ちょっと待て!面倒事を俺が起こしている訳じゃないだろ!向こうから寄ってくるんだよ!」
「けど結局面倒事に首を突っ込むっすよね。で俺達が巻き込まれるっすよね!」
「そうなんですよね。全く私達の身にもなってほしいですね」
「よーく分かった!お前達俺にケンカ売ってるんだな!買ってやるよ!かかってこい!」
「ちょっとユウ先輩!落ち着いて下さい!」
「今回は俺は関係無いっすよ!勘弁して下さいっすよー!」
そんなやりとりをしたり、他愛も無い話をしたりして過ごしていると、雨が降ってきた。結構降ってきたな!大雨になりそうだ。
「流石にこの雨だと少し休憩するか。ダイ、作ってくれ」
「了解っす!街道から少し離れて、あそこの広場で作るっすね」
「ユウ、何を作るのですか?」
「まあ、見てろって!」
俺は街道外れの広場に行き、どんな物にするか想像する。いつもは四人だけど、今回は七人だから少し大きめにして、全員の個室を作るか。平屋より、二階建てにして・・・
「よう、ダイは何ブツブツ言ってんだ?」
「色々考えているんですよ。気にしないで下さい」
「アイツ、深く考える時に、たまにああなるんだよな」
「何を考えているんです?」
「まあ、そろそろ出来るハズだから待ってな」
「よし!イメージ出来たっす!行くっすよー!」
俺は二階建ての家屋をイメージして、土魔法で建てる!魔力で強度を上げる!色は別にいいか。いくぞ!
俺のイメージ通りに二階建ての家が目の前に出来た!
「こ、これは!・・・貴方達は本当に規格外ですね」
「へぇ~、スゲーなダイ!コレが出来るなら宿屋いらずじゃないか!」
「いやいや、魔力消費半端ないし、魔力で硬化してるっすけど二日ぐらいしか持たないっすから!」
「二日も持てば十分ですけどね」
「まあ、とりあえず入ってみて下さいっす!」
俺の作った家に皆を案内する。
「一階に広間があって、二階には個室の寝室があるっす。ただ、布団とかはないからなこっから持ってって下さい。それから・・・」
「まてまて、本当にこれはさっき出来たばかりの家かよ!俺の家よりデカイし、キレイだぞ!」
「そりゃー、今出来たばっかりだからキレイだろうよ」
「いや、そうなんだが!そうじゃなくて!」
「けど、此処までの家を作るのに大変だったっすよ!」
「初めの頃は酷かったよな。家に入ったら直ぐに崩れ落ちて、危うく生き埋めだったしな」
「寝ている時に崩れた時もありましたね」
「雨の時に天井が溶けた時もあったな」
「そんな昔の事はもういいじゃないっすか!今はこうして普通の家が出来る様になったっすから!」
「普通?普通ってなんでしたっけ?」
「あんま深く考えるなよ、ガーター。コイツ等の普通は普通じゃないんだから」
「貴方は慣れたのですねマンバ」
「慣れては無いがなモイラ。どっちかって言うと諦めの方が強いかな。コイツ等の非常識具合にな」
「おいおい、お前達好き勝手言うな!確かに、ダイとノリは非常識かも知れんが俺は常識範囲だろ?」
「・・・貴方が一番非常識ですよ。ユウ」
「えっ!嘘だろモイラ!」
「なあ、ユウは本気で言ってんのか?」
「チッチッチ、違うっすよマンバさん。ユウ先輩の常識は非常識っすから!」
「あー、成程。そういう事か」
「勝手に納得すんなよ!お前・・・」
ユウ先輩が急に静かになる。どうしたんだろ?
「ユウ先輩、どうしたっすか?」
「誰か来た!多分一人だ」
ユウ先輩の言葉を聞いて、俺達に少し緊張がはしる!少しの静寂の後、ドアがノックされる。そして、女性の声が聞こえてきた。
「すいませーん。誰かいますかー?」
大雨の中に響く、誰か知らない女性の声。
この来訪者は一体誰なのか?何の目的があるのか?
何もわからないがこのメンバーなら何かあっても大丈夫だろう。
日本に還る為にも何も起こらないといいなー。
まあ、無理だろうけど!




