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サムライの格好で異世界に来たんだが  作者: 志村けんじ


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7/7

手合わせ


「十兵衛。それじゃ、手合わせお願いするわ! わたしが女だからといって、手を抜かないでちょうだいね」


 そう言って、少年に向かって、木刀の剣先を向けたクレア姫の構えは、なかなか堂に入ったものだった。


 特に、隙などは見つけられない。


 少年も、少しだけ気持ちを切り替えた。


 それでも、真剣勝負の本気ではなく、真剣の遊びである。


 クレア姫は、上に構えた木刀の剣を、鋭く少年に振り下ろしてくる。


 少年は、それを左に体を動かしてかわした。


 クレア姫の木刀の剣は、そのかわした少年の方向に鋭く追ってくる。


 少年は、それを木刀の剣で受けて防いだ。


 次の瞬間。少年の木刀の剣先は、クレア姫の顔の前で止まった。


 これで、勝負ありだ。


「どうです。姫様。これで満足いただけましたか?」


 少年は、木刀の剣先を下した。


「そうね」


 そう言った、クレア姫の木刀の剣は、不意打ちで、少年の脳天を直撃する。


 少年は、気を失って倒れた。



 少年は、夢の中にいた。痛い。頭の上のところが痛い。この痛みだけは、絶対に夢ではない。


 家の中で、クレア姫を含めた、大人たちの会話が聞こえる。


「彼の本当の力量はわからなかったけど、あんなものではないのね」


「はい。私たちの知る限り、みんな一撃で倒していますから。間違いありません」


「彼を、リッチ率いる死の軍団討伐の為に、貸してくれないかしら」


「それは、彼さえよければ、私たちはなにも」


「その代わりに、この村に、五人の兵士を護衛におくわ。それでいいでしょ」


「はい。それでしたら、安心です」


 その会話を夢の中で聞いていた少年は、まるで自分は物々交換の品物のようだと思った。


 そして、これまでここが自分の夢の中だと誤魔化していたものが、すべて現実の世界であることも、頭の激痛と共に理解した。


 少年は、誰かに起こされる前に、自分で体を起こした。


 そして、まだ傷のない、クレア姫のきれいな顔を見つめた。


「その、死の軍団の討伐って、オレはなにをすればいいんですか?」


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