火縄銃のチカラ
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それと、少年には、はっきりとわかったこともあった。
常人離れの、速く激しく動いた反動のせいだとは思うのだが、刀を使ったあと、体が異常に疲れる。
それなので少年は、毎日の修行の一環として、この魔物以外は斬れない大刀を、シャドーボクシングのように素振りすることにした。
もう一本の脇差の方も、同じように練習してみて、その射程範囲が、大体15メートルぐらいなのもわかった。
ただ一つ。まだわかっていないのは、火縄銃の能力だ。
撃ち出す鉛玉も、点火するための火縄もないが、これも絶対に、普通の火縄銃とは違うはずだ。
それなので少年は、その火縄銃を持って、村の外の崖のところに来た。
ここなら、万が一に弾が出たとしても、誰かに当たる心配はない。
「じゃあ、ここから見える、手前の高い木のてっぺんを狙ってみよう」
そこまでの距離は、大体70メートルぐらい。
少年は、狙いをよーく定めて、引き金を引いた。
「ザザッ」
っと、狙ったところとは少しズレたが、引き金を引いたタイミングと同時に、なにかが葉っぱには当たった。
「もう一発」
また、狙いを定めて引き金を引く。
「ザザッ」
っと、また狙ったところには当たらなかったが、、今度は蒼白い弾が出た気がした。
「よーし、なんとなーく、わかったぞ! 次こそは狙い通りに当ててみせる!」
少年は、更に集中して、狙いを定めて引き金を引いた。
蒼白い光の弾が銃口から発射される。火縄銃の銃身の根元から、なにかが弾かれる感覚もあった。
おそらくは、魔法の弾。魔弾だ。
刀と同じように、少し疲労感はあるが、動かない分だけ大刀ほど疲れるという感じではない。
これはもしかすると、込めたチカラの加減によって、その威力が変わるのではないかと、少年は思った。
「射程範囲はどれぐらいなのかな?」
次に少年は、100メートルぐらい先のあの木に向かって狙いを定め、引き金を引いた。
「ビュン! ザザッ!」
今度は、魔弾が発射される音がして、狙った的に当たった。
「よーし、もっと距離を延ばしてってみよう!」
更に奥にある木の先端に狙いを定めて引き金を引く。
「当たる! 距離を延ばしてみても当たる!」
「威力の方は、どうなんだ? ひょっとして、力を溜めれば威力は増すのかな?」
そう思って、少年は込めるチカラを溜めてから、引き金を引いてみることにした。
「まだ……まだ……まだ……まだー……!」
「ビュン!」
「えっ!?」
火縄銃から発射された魔弾は、バレーボールの球ぐらいの大きさとなって、 凄い威力で、縦に並んでいた何本かの木の頭を拭き飛ばす!
「はぁー、はぁー、はぁー……」
それと同時に、やはり、この威力と引き換えに、すごく体が疲れることもわかった。
接近戦なら、大刀。少し離れたところなら、脇差で捕まえたり攻撃する。それ以上離れた相手には、火縄銃ということなのだろうと、少年は思った。




