刀のチカラ
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さて、現実では、まだ高校生の自分が、ここでなにをすればいいのかと、少年は考えた。
「まさか、用心棒ってことはないよな? そんなのはあり得ないだろ。だけど、これが夢の中なら、あり得るのか?」
「!?」
そのとき、村の外から、凄く嫌な気配がした。
「なんだぁー!? このすごく嫌な感じは!?」
そのとき、少年の腰に差している刀が、「カタカタ……」と反応した。
「キャーーー!」
「うわぁーー!」
「助けてぇーー!」
離れたところから、村の人たちの悲鳴が聞こえる。
「くそぉー! 早く行かなきゃ!」
そう言う前に、少年は体が勝手に反応して、悲鳴がする方に走っていた。
それも、人の走っている速さではない。まるで自転車で全力疾走してるような速さだった。
村の門を破って、きのうと同じ、スケルトン・ウォリアー三体が村人に襲い掛かっている。
「って、なんだよ、あいつら!?」
少年の放つ強い気配に気づいて、スケルトン・ウォリアーは殺気を放って、剣の先を少年に向けた。
気がつくと、少年はすでに、刀の柄を握ってる。
抜刀!
刀を抜いて、スケルトン・ウォリアーとすれ違いざま、一瞬で二体を斬り裂く!
その残りの一体が、コウモリのような翼の形をした、「骨だけの翼」が生えて、空に逃げる!
この一体は、フライングスケルトンだったようだ。
少年は、大刀を鞘に戻して、入れ替わるように脇差の方を抜いた!
そして無意識に脇差を、その魔物に向けて振るう!
逃げたフライングスケルトンが、まるでカウボーイのロープ投げで捕まった牛のように、空中で動きを封じられて藻掻く!
握っている脇差には、わずかに引っ張られる感触! それに対抗して、少年も強く引っ張る!
その動きと連動するように、今度はフライングスケルトンが、急激に強い力に引っ張られて、少年に向かって猛スピードで飛んでくる!
それに合わせるように、また無意識に脇差は鞘に戻り、大刀を抜いて、一閃居合切り!
フライングスケルトンは、真っ二つになって消滅した。
二体のスケルトン・ウォリアーの姿も消滅している。
この刀が、アンデッドの魔力に反応しているのではと、少年は思った。
「これはもしかして、魔力のあるものに反応して、魔物だけを斬れる刀なのか?」
「それに、この脇差の方は、なんか鞭のような……。なんかそんな気がする」
そう思った。
「いやー、助かりました」
「シュッ」
刀が勝手に反応する。
「ピタッ」
大刀の刃が当たる寸前で止めた。
「ヒッ!?」
刀の刃が向かったのは、きのうの夜に、ムランさんの家に集まっていたうちの、四十代ぐらいの男の人だった。
「いや。大変申し訳ありません! お怪我は、ないですよね?」
少年は、今度は自分の意思で刀を鞘に戻した。
「それじゃ、どうも」
そう言って、そそくさと、その場を立ち去る。
「焦ったー。危うく村の人を斬るところだったよ。あっ、でも斬れないのか。
そうそう。魔物以外は斬れないんだもんなー。安心、安心」
そう思って、安心した。




