51 地下駐車場
マジであの、VRゲームの地下駐車場だ。
わざわざ、ゲームのモデルになったビルまで、連れて来られたって事か。
あのVRゲームは、スパイ映画並のシミュレーションソフトだったのかもしれない。
事前演習兼適性検査って言ってたし。
女子二人は、出入り口から真っ直ぐ進んでいる。
とにかく、オレも着いて行く。
突き当たりは、おそらく警備室だろう。
VRゲームで見たのと、全く同じといってもいい光景。
あのゲーム、スゲェ。
驚くほどだ。
車の色や配置まで、見覚えがある。
警備室の前まで来た。
思わずドアを凝視すると、ゲームと全く同じ位置にワイヤーが張ってあった。
おいおい。
これは、いくら何でもおかしい。
こんなの、引っ掛かる訳がないだろ。
何のつもりだろう。
もしかしたら、《時空管》の誰かの、知り合いのビルなのかもしれない。
そして、やはり、オレにいわゆる『ドッキリ』を仕掛けようとしているのだ。
なんといっても、今日はオレの『ルーキー洗礼の日』だからな。
それにしたって、この罠は無意味過ぎるけど。
誰かに首を掴まれた。
振り返ると園池さんがいた。
ちょっと怒ったような顔で、警備室の右側を指差している。
えっ、これはまさか本当に、小窓から警備室に入れって事か。
亜衣ちゃんも、急がせるように手招きしている。
この状況じゃもう、やるしかないな。
どうなっても知らんぞ、オレは。
覚悟を決めて、警備室の中に入る事にする。
小窓のサッシを掴むとき、念の為にベストを脱いで手に巻き込み、指紋がつかない様にした。
山形さんによる、性質の悪いイタズラだった場合の保険だ。
『証拠が無ければ、どんな悪さでも誤魔化しきれる』ってのは、世の中の常識だからな。
あぁクソ、こういうのは中学で卒業したつもりだったのに。




