50 スマホ
突然、亜衣ちゃんがオレの肩を掴んだ。
「今から、驚くような事が連続して起きるだろうけど、自分をしっかり持って。あの山形さんがリーダーに選んだんだから、必ず任務を果たして生きて帰れる。」
顔が近い。
オレの顔を覗き込むようにして、なんというか、悲しそうな瞳だ。
身が引き締まる思いがしたが、口元はだらしなくニヤついていることだろう。
「これはダメだわ。緩みきってる。二人で頑張るしかないね。」
園池さん、そんな事言わないでくれ。
亜衣ちゃんがオレを励ます。
オレがニヤける。
園池さんが呆れる。
亜衣ちゃんがオレを励ます。
オレがニヤける。
園池さんが呆れる。
亜衣ちゃんがオレを励ます。
オレがニヤける。
園池さんが呆れる。
無限ループって怖いな、と思った時スマホが震えだした。
ついに、時間が来たようだ。
何が起きるのかわからんが、まずはスマホを完全に無音無反応モードにしよう。
目立っちゃいけない場面で呼び出し音とか、最悪だ。
かといって、時間を確認しなきゃならんから、電源は切れない。
深呼吸もしておこう。
よし、行くか。
「これより、任務を開始します。」
教わったままで何の捻りもない、開始の合図。
「了解です。」
「了解。」
(了解です。この任務のオペレーターはモニカが務めます。)
あぁ、そういえば、VRゲームもそういうノリだったな。
……、あれ、今タマラさんの声が聞こえたような。
スマホ、じゃないな、ちゃんと消音になってる。
「行くよ。テレパシーは、あんまり気にしちゃダメ。」
テレパシー?
おっと、ボーっとしてる場合じゃないな。
亜衣ちゃんと園池さんが、先に行ってしまう。
げ、ホントに地下駐車場の車用出入り口から入るのか。
目立たぬように、かといって自然に。




