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45  ナノマシン

「佐藤君は、色々と言いたい事とか、聞きたい事が出て来ると思う。でもとりあえず、プリントを出して、私達の話を聞いてください。プリント類だけど、私達にも見せちゃ駄目って事になってるから、一応隠しながら見て。タマラさんの話だと、あんまり隠す意味は無いらしいけど。瑠乃華ちゃんも、プリントを出して聞いて。食べながらでいいから。」


園池さんが、どこからともなくプリントを出した。

何だ、今の?

どこに隠してたんだ。

とにかく、オレもプリントは持ってきてるから、出しとこう。

ゲームの攻略法が、なんの役に立つのか分からんけどさ。


「まず、佐藤君に最初に言っておくね。音声キーワードになってるフレーズを、軽々しく口にしないで。特に九時を過ぎたら、絶対にダメ。」


音声キーワードって、ゲームの特殊攻撃で使ったのの話かな。


「プリントの[訓示]に、『あなたは、適切な身体の強化施術を受けた』って書いてあると思う。その施術っていうのは、タマラさんに打ってもらった注射の事。そして、その注射によって佐藤君の体内や身体の表面なんかに、ナノマシンっていう、埃よりも小さいロボット達がついて来る様になったの。それで、そのロボット達は、VRゲームでやった活性化って能力の正体。それに使う音声キーワードが、同じプリントに書いてあるよね。そのキーワードを声に出さないで欲しいって事。」


やっぱりまた、ゲームが現実化していく話題なのか。

それとも、特殊な状況であのゲームをやるのかな。

まぁいいか、音声キーワードね。

そういえば、プリントにも書いてあったな。

……この『マンボウの寄生虫を食べたい』ってのだ。

まさか、このフレーズを何度も目にする事になるとは。

人生ってのは、予測のつかないドラマだぜ。


それにしても、ナノマシンねぇ。

仮に本物のスパイでも、強化用のナノマシンを使用、なんてのはありえない。

現代ではまだ、理論レベルでも、実用的な技術は存在しないから。

そういうのが実用化されるのは、どんなに早くても数十年後だろう。

おっと、大人しく聞いてる約束だったな。


「今の状況を完全には信じられてないだろうけど、とにかくそのキーワードを言わないで。現場に着いて、言うべきタイミングだと思うまでは、絶対にダメ。それが無理なら、私達は仲良く出来ないと思う。だから、今、約束して欲しい。」


何が狙いなのかは分からんけど、ここまで来て関係が悪くなったら嫌だな。


「もし変なタイミングで言った場合には、あたし達はずっとチェリー君って呼ぶからね。」


それはもっと嫌です。


「……わかった。約束するよ。この、音声キーワードのフレーズは言わない。」


亜衣ちゃんはニコッと笑った。

まぁ、マンボウの寄生虫の話なんて、する必要はないだろう。

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