33 堕天使
オレは、時空管理局の管理官候補生。
時空管理官……。
それは、戦闘型ナノマシンによって強化された肉体を持つ、歴史改変阻止のスペシャリスト。
敵は未来のテクノロジーにより強化された時空改変者達と、その手下。
初任務として与えられたのは、改変者による米国大統領の暗殺を阻止する作戦。
優秀すぎるのも、考え物だ。
初回から、暗殺阻止班のリーダーを任さてしまった。
敵の改変者は殺し屋達、そしてそれは強力な破壊力を持つサイボーグ軍団でもある。
部下は、先に初任務を終えている二人のか弱い美少女のみ。
……という設定の、『おフザケ企画』が進行しているようだ。
時々脅しが入ってくるので、実際は『ドッキリ企画』なのかもしれない。
「では、時間になりましたので、基本情報の説明から始めます。二人は知ってる事が多くなるけど、一緒に聞いて。」
どうやら、集合時間であった六時になった様だ。
グダグダなおフザケ企画の割には、テンポよく進行している。
タマラ教官にとっては、全てが予定通りなのだろう。
ちょっと露出度が高すぎるけど、『仕事が出来る女』ってな雰囲気がするし。
「時空管理局には、『紡ぐべき歴史』が設定されています。それは、人類が滅びずに長く存在する為の歴史です。場合によっては、私達が紡ぐ歴史の中で大きな不幸や戦乱が人々を襲いますが、それも最善の結果へ至る為の道の一部です。私達はその困難や苦難を耐え忍び、紡ぐべき歴史を実現しています。しかし、その紡ぐべき歴史の道から、外れさせようとする勢力が存在します。私達はその勢力の構成者を『改変者』と呼んで、協力者や無関係者とは区別しています。」
それにしても、タマラさんは胸がデカイな。
太腿は丸出しだし、どうしてもガン見しちゃうよ。
そんな不謹慎な事を考えていると……。
タマラさんが一瞬オレを見つめて、何かを言おうとした。
しかしすぐに、呆れたように首を横に振って、結局言うのを止めた。
今の何ですか?
すごく気になるんですけど。
「……。時空間移動と、時空管理局の関係を説明します。時空間移動は、いわゆるタイムトラベルやタイムリープの事だと思って貰えればいいです。」
「時空間移動には、大きく分けて『転送跳躍』と『情報跳躍』の二種類があります。転送跳躍とは時空の異なる場所から、物質が転送されるような高度な跳躍です。この時代で一般的にイメージされるタイムトラベル、時間旅行者などは、こちらに分類されます。」
「転送跳躍は科学技術レベルが、この時代よりも遥かに発展していないと不可能です。転送跳躍は言ってみれば、神々の技術なのです。だから、転送跳躍をした存在は総じて『天使』と呼ばれます。その存在が改変者であっても天使と呼ばれる事になります。我々の間では『堕天使』として扱われる場合が多いですけどね。堕天使の内、非常に強い力と悪意を持つ者達は、『大悪魔』と呼ばれる事がありますよね。私達もそう呼びます。はっきり言って、もし彼らと戦いになってしまった場合は、勝利する術が殆どありません。科学等の技術レベルに差がありすぎるからです。彼等は、もう人とは呼べないようなレベルにまで進化しているか、そもそも人ではないと言われています。」
「天使の存在は実際に確認されていますが、殆どが伝説や神話です。本当に、彼等がこの世界の創造主である可能性すらもあるの。」
なるほどね。
神の技術を持つ訪問者だから、天使や堕天使か。
となると、ラスボスは悪魔王か大天使だな。
SFだった筈が、ファンタジーになりそうだぞ。




