23 身体検査
「長万部タマラ。よろしく、佐藤君。」
人種不詳、褐色美人、二十代前半と思われるセクシーなお姉さんだ。
白衣にタイトなミニスカート。
オレのような思春期の少年には刺激的過ぎる。
というか、胸開き過ぎだし、そのスカートは短すぎるって。
どうしても、ドギマギしてしまう。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
《時空管》のあるビルの三階は、診療所とトレーニングルームを合わせたようなスペースだった。
診療所に、ルームランナーなどのトレーニング器具が置いてある感じだ。
「もしかして、長万部さんって本物の医者なんですか?」
学校の保健室より、よほど本格的な治療が出来そうに見えたので、聞いてみた。
ちょっと若すぎるけど。
「正解。でも、先生って呼ばないでね。ここには、医師として居る訳じゃないから。タマラさん、って呼んで欲しいな。」
そう言うと、タマラさんは手招きした。
呼ばれたほうに行って、椅子に座る。
「まず、診察。」
上半身だけで補聴器越しとはいえ、女性に裸を触られるのはちょっと恥ずかしいぜ。
二分ほどで診察は終わった。
もうちょっと診てくれても良いのに。
「今度は、採血ね。」
あっという間に腕を捲くられて消毒され、血を抜かれた。
手際が良いなぁ。
「はーい終了。次は身体測定。一番左の体重計から順番に乗っていって。」
流れ作業のように、慎重やら座高やらが測られていく。
ほんの二、三分で身体測定は終わった。
「次は簡単な体力測定をやります。十分もあれば終わるかな。まずはルームランナーで五分間のランニング。その後で、腕立てと腹筋を五十回ずつね。」
うっ、結構キツイなそれ。
最後の腹筋でフラフラになりながらも、ランニングと合わせて十分ほどで終了させた。
「はーい、OK。ちょっと座って安静にしてもらったら、注射を一本打って終了。深呼吸をして、呼吸を整えて。ここに契約書とかの書類があるから、今のうちに書いちゃってね。」
そんな格好で隣に座っていられたら、何時までも呼吸が整いません。
足組みかえたりされると、余計に無理。
頭を振って、雑念を追い出す。




