メイドになった王子たち
これは何処かで見れたかもしれない世界の欠片。
俺の名前はザーラ・トパー・ムー。この国のただのイケメンさ。
…と言うのにナゼ俺は今、メイド服を着ているのだろうか?
ようやく冷える様に夜とは反対にまだまだ蒸し暑いある日の午後、黒の長袖ロングワンピースに白いエプロン姿で俺たちは汗だくになりながらアランの屋敷のあちらこちらを動き回っていた。
どうしてこんなことになっているかと言うと…時は遡り、いつもの様にこの国の王子であり、俺と弟の主アランの屋敷を訪れた俺たちがお妃様に叱られるアランに遭遇した時の話だ。
俯くアランの隣には隙間なく真っ赤に埋まった窓と介抱されているメイドがひとり。
窓には丁度子供の手形ぐらいで、アランの手には赤いインクが握られていた。
直感的に面倒ごとに巻き込まれる気がして引き返そうとすると、俺の少し後ろをついてきていた弟のガーが静かに首を横にふる。
押し問答しているうちにあっけなくアランに見つめられる。
気付いたガーがズンズンアランのほうへ進む。俺は渋々着いていくとお妃様の呆れている声が聞こえた。
「~~~。から貴方も上に立つ人間なら、人の気持ちを考えなさい。いいですか。この窓のイタズラを消すことはもちろん。今日1日メイドの気持ちを理解するためにメイド長の指示に従ってしっかり従事すること。」
そういうと、そばに控えていたメイドから子供サイズのメイド服を受け取りアランにしっかり握らせる。
ニコリとほほ笑むとアランに着替えるよう指示しその場を後にする。
お妃様の姿が見えなくなると、アランは俺たちを見て不敵な笑みを浮かべメイドに話しかける。
「なぁ、メイド。このサイズのメイド服まだあるよな?」
俺たちの方をニヤニヤみながら話すアレンにメイドが元気よく「はい。」と答える。
「そうか、だったら追加で2着用意してくれ。」
「え。俺は着ないよ?アランがメイド服着てヒーヒー言ってるのみてニヤニヤしてたいって。」弟のムーも激しく首を振っている。
そんな俺たちの抵抗むなしくメイド3人娘になった俺たちは最初にアランのイタズラの後始末するはめになった。
暫く黙々と消そうと頑張っていたがちっとも落ちない痺れ切らしてアランに詰め寄った。
「アラン!!これ何でつけたのさ!?まったく落ちないんだけど!!」
「あぁ。これはお父様が仕舞われたままにされているインクだからな。」
そう言うとニカッと俺達に手を見せる。
突然の血塗れの様な手にムーはビクッと肩を震わしたが、何かに気付いたようにハッとすると、アランに問いかける。
「アラン様、もしかしてあの特殊インクをお使いになられたのですか?」
何か知っている様子だったムーに説明を促すとヤレヤレといった顔で口を開く。
「王家に伝わり、王家のみが使用を許可された決して消えることのない特別な時にだけ使われるインクの事かと…。」
「え!?あの存在が伝説みたいなあのインク使っちゃったの、アレン!?」
一生懸命擦ってもちっとも薄くならない窓に納得した俺たちは相談し正直にお妃様の話ことにした。
当然こっぴどく叱られたアランと再びメイド業務を再開する。
屋敷を右に左に容赦なく走らせるメイド長からようやく解放されたのはもう日も沈み始めた夕方だった。
俺たちは服も着替えず庭に寝転がる。
肩で息をしながらアランがおもむろに口を開く。
「ガー・ムー。俺メイドがこんなに大変だなんて知らなかった。俺誰も置いていかない王になるよ。」その日からアランは人が変わったように真剣に授業に取り組む姿が確認されるのであった。
お久しぶりですの方
お久しぶりです、愛羽真琴です。
初めましての方
初めまして、愛羽真琴です。
今回はこちらで彼らのメイド姿を投稿してみました。
次回の更新は本巻の方で、更新日は2026.10.15を予定しています。
ぜひこちらの彼らも見ていただけると嬉しいです。
それでは、また!
本巻
『娘を悪役令嬢にはいたしません!!』https://ncode.syosetu.com/n7207hh/




