最終話 これから
タイトル通り、最終話です。
よろしくお願いします。
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帝国城庭園にて戦いが終わり、その場で大の字で寝ている、ライの傍ら、ライと契約している、神霊サマエルは、城内で行われている戦いを魔力の気配で状況を見ていた。
長きにわたる時間停止を感じてから、しばらく間をおいて、再びに感じた時間停止は、即座に解除された。
「ライ……ライ、起きなさい。
戦局が変わりました。
おそらく、リシェルが目覚め、神と成り、勇者との戦いが始まった様です」
サマエルは、ライを揺さぶり起こす。
「……ん、リシェル、が?」
ライは軽く頭を振ると、サマエルに尋ねる。
「ええ、おそらくは」
「わかった……行こう」
少し、ふらつきながらも、ライ立ち上がり、城の壁を突き抜けた穴へ向かった。
リシェルの最後の攻撃で、勇者アベル・ノーマンの姿は、完全に消滅し、大きく輝く一メトルの球体が浮かんでいた。
球体のなかには、青色、朱色、白色、無色の神霊核があり、球体の下に、割れた核が二つ落ちている。
おそらく、創造神が消滅を防ぐ為の、疑似神霊核が、偽物故に、リシェルの力に耐えきれず、壊れたのであろ。
「……」
リシェルは、球体が創造神の元であると判断し、槍の振り上げ、壊そうと構えた。
「ちょっと、待ったーーーーー!
リシェル、待った、待った!」
突然、聞こえた声に、リシェルが向くと、壁に穴が空いた場所で、ライが慌てていた。
「ライ?」
リシェルが、首を傾げる。
「ええ、壊すのは、待って頂けますでしょうか?
……リシェル、様」
いつの間にか、ライに気を取られた合間に、球体の前には、サマエルが立ちはばかり、頭を下げて膝まついた。
「サマエル?」
「この創造神の残した球体は、私を作り出した神、主様が所望した物で、その為、私は、この世界に降り立ち、ライと契約したのです。
故に、この球体を、私に譲り受けさせていただく」
「主……破壊神?」
「……その通りです。
気づいておられたのですか?」
リシェルが、主の正体を口にした一瞬、頭を上げたが、慌てて頭を下ろした。
「昔、君にあった時、その事はわかったんだけど、その時は、言葉には出来なかったけど、今、だからこそ、言える事だよ。
……しかし、破壊神が、何で?」
「それは……」
サマエルは、いい及ぶ。
ーーそれは、私から話ましょう。
突如、部屋にいる全員の頭の中に、声が響いた。
その声に誰もが驚き、声の主を探す、一瞬、部屋にいた者、全員、床は鏡の様に写る、白い空間にいた。
「ここは……まさか?」
ライが驚きながらも、リシェル達の側に近寄り、サマエルに尋ねた。
そう、ライは一度、この場所に来ている。
破壊神の支配する空間。
サマエルは、ライの問いに頷き、かつて、ライを導いた時の様に、全員を破壊神のいる、白い神殿へ導く。
『やあ、いらっしゃい。
そして、長きに渡る戦いの終止符、ご苦労様』
神殿の中、玉座の様に存在する椅子に座り、来た者達を、友好的に労う神……破壊神がいた。
その存在を目にした時、リシェル以外の者が一斉に膝をつき、頭を下げた。
神霊である、サマエル、ミカエルは、勿論、魔王であるミーザ、帝王レオハルト、ガインも、そして、ザーツまでもが、その存在に、背に冷や汗を流しながら、膝まついた。
リシェルは、その様に行動する皆を見て、破壊神を見た。
破壊神の側に浮かぶ、三つの輝く球体は、創造神の球体の様に一メトル程あり、それぞれの中には核が十二個入っており、球体内部から色とりどりと光っていた。
『サマエル、創造の球体を、こちらに』
破壊神は、サマエルに手を向け、催促した。
「はい、我が主、どうぞ、こちらを受け取り下さいませ」
サマエルは、創造神の球体を宙を滑らす様に、破壊神に渡そうとした。
「待った……悪いけど、まだ、そこまで創造神の球体を欲しがる理由を聞いていない。
だから、まだ、渡す事は出来ない」
リシェルは、破壊神の下に行こうとしていた球体を、槍で止め、破壊神を見る。
『……そうだった。
私とした事が……実物を目の前にして、焦ったか?
リシェル、君の言う通りだ。
説明させてもらおう』
リシェルの行動に、わずかに目を開き、口角を上げた。
『サマエルから、聞いている。
三年前、そこにいる、ザーツ・シュザットが、創造神の持つ四つの神霊核か、リシェル……いや、当事はルシファーが持つ四つの神霊核を、私が欲していると。
その通りだが、半分違う。
正確には、破壊神である、私が創造神の力を欲したからだ。
その為、私は、ある、お方から依頼を受け、報酬として、その創造神の球体……力を望んだ。
だから、ルシファーの持つ神霊核を、私は望んでいない』
ザーツに指をさし、次に創造神の球体をさした。
『さて、私に依頼した、お方は……ここからは、君達が戦いぬいた歴史に繋がるのだが。
……まず、私達、神々は自然に誕生した訳ではない。
君達の世界が作られる、遥か、君達が想像つかない遠い時間、私達を産み出したのは、まったく何もなかった空間に、宇宙と呼ばれる意思を持った空間が、そこに発生した。
その意思こそ、絶対なる総母神であり……宇宙神が、私達、神々を造り出した存在。
宇宙神は、自身の成長の為、手足となる神々を造り、見守れと命ずる。
長き時間が経ち、創造神、運命神、法の神、戦の神は飽きを感じ、宇宙神の命に背き暴走する。
また、それに追う様に、他の神々も増えようとしていた。
宇宙神により、かなり後に造られた私は、依頼される。
己の欲望を優先する四柱を、見せしめに滅せよと。
だが、私の存在が明らかに出来ない為、時間がかかりながらも裏工作を行った。
ルシファーに、サマエルを接触させたり、君達の中に、新たな属性……闇を持つ者を混ぜ、ルシファーの堕ちた魔界の悪魔……いや、他の世界を管理する神に力を借りたりとかな。
……まさか、闇属性の者の精神が弱く、暴走し、魔人化する事になるとは、思わなかったが』
破壊神は、自身の行いを鑑みながら、悔い呟く。
「馬鹿な?
それでは、貴方が!」
それを聞いた、ガインは、顔を上げ怒りを向けた。
『……そうだ。
ガイン・ハワードよ。
私が、原因だ……本来、暴走などを失くす為に動くつもりだったのだが、創造神以外の神達が、私の存在を気づき、調べようとしてな。
知られたくないが為動けず、現状に至ったのだ……すまぬ。
貴殿の行動に感謝する』
「い、いえ……失礼しました」
破壊神が謝まった事により、ガインは怒りが解け、顔を青ざめながら、再び、頭を下げた。
『後は、君達がよく知る事であるな。
……私は報酬として、創造神の力を求めた。
神で唯一、創造と破壊の力を持つ神に成りたかったのだ。
神霊核は、サマエルを造った分を補うには、丁度良かったがな。
さて、リシェル?
そういう事だ……わかってもらえただろうか?』
ガインの謝罪に頷き、話を終えた破壊神は、リシェルを見た。
「ええ、十分です」
リシェルも頷く。
『さて、私の下にある、この球体は、君達が勝った後、結果を見ていた運命神、法の神、戦いの神の三柱のモノだ。
そこで、君達に頼みがある。
ザーツ・シュザット、君には運命神の。
ミーザ・エスクード、君には法の神の。
最後に、ガイン・ハワード、君には戦いの神の。
それぞれを受け継ぎ、君達にこの世界の神と成り、私とともに、一から見守る手伝いをして欲しいのだ。
勿論、リシェル、君にも新たな神として一緒にだ。
どうだろうか?』
ザーツ達は、破壊神の言葉に驚き、顔を上げた。
「失礼ですが。
それは、何故……でしょう?」
ザーツは問い質す。
『君達への、ここまで辿りついた報酬かな?
その君達だからこそ、お願いしたい。
帝国の王、レオハルトは、残念だがな』
「いえ、私では務まらないでしょう。
賢明な判断かと」
『うむ……で、どうだろうか?』
破壊神の伺いに、ザーツと、ミーザは目を合わせ頷く。
「承りました。
ただ、私と、ミーザの受け継ぐ役割を変えていただきたい。
ミーザは優し過ぎる為、私のほうが向いているでしょう。
また、ミーザは女性として、生命を司る神が向いているかと」
『なるほどな……ガイン?
君はどうだ』
破壊神は、ザーツの意見に納得し頷いた。
「私は……降りさせていただきたい」
ガインは断る事で、顔を青くしながらも、自分の意見を言った。
『それは、何故?』
「私には、愛する妻がおります。
それを置いて、私は神になるつもりは……変わりと申しまして、ここにいる、我が息子、ライを推したいと思います」
「えっ?
父ちゃん、何、言ってんだ?」
『ほう……ライか?
ライよ、君の父は、そう言っているが、君はどうだ』
「えっ、あ、その……」
ライは、考えが纏まらず狼狽えた。
『私は、いい意見だと思うが……そうだ、一つ、言っておこうか……神になれば、リシェルの側に「なります!」いられ……そうか?』
「はい、なります!」
『くくっ……そうか。
ならば、それぞれ受け取れ』
破壊神は、ザーツ、ミーザ、ライの下に神の力……球体を送る。
三人は、球体に触り光輝いた。
『さて、しばらく時間がかかるな。
リシェルよ』
「はい」
『君は、これから宇宙神に会ってもらいたい』
「宇宙神に?」
リシェルは、首を傾げる。
『そうだ……悪いが、送るぞ』
破壊神は腕を振り、リシェルの姿が消えた。
「ここは?」
リシェルは、全方向夜空の中にいる様な場所に、気がつけばいた。
ーここは、宇宙です。
「ここが……宇宙。
宇宙神様、どこですか?」
リシェルは、首を振り、辺りを見渡すが宇宙神はいない。
ーふふ、この宇宙全域が、私です。
ー私は、貴女の様に肉体を持っておりませんから。
「私に、何のご用ですか?」
ーふふ、貴女は、私が造りし神ではなく、神霊核を持って、人から神へ成った者。
ーその貴女に、足りない神霊核を授けようと思いまして。
ーまた、貴女の魂で造った闇の核を、本物に。
「じゃあ?」
ーええ、完全なる神として、属性神として、貴女を認めます。
ーその上で、貴女に、新たな名を授けましょう。
ーそうですね。
ールシファーと、リシェル。
ー融合したなら、名もそうしましょうか?
ーでは、これからは、ルシフェル……と。
ー貴女の名は、ルシフェルです。
「ルシフェル」
ー他の者には、今まで通り、リシェルでいいですよ。
ー破壊神にだって、私が授けた名があります。
ーでも、誰も言わないでしょ?
ーそれは、誰も知らないからです。
ー貴女と、私だけが、知っていればいいのです。
「私と、宇宙神様の……秘密、ですね」
リシェルは、ニコッと笑った。
ーそういう事です。
宇宙神も、嬉しそうに言った。
ーでは、もう戻りなさい。
ー他の者も、新たな名を授け終えてます。
ーまた、神に成り終えているでしょう。
「はい、では、また」
ーええ、また
リシェルは、姿を消した。
「戻ったか?」
戻ったリシェルの姿を確認した、ザーツは、リシェルに声をかけた。
「おとうさん、おかあさん……ライも、神様だね」
「そうね。
リシェル……これからも、ずっと、ね?」
「うん」
ミーザの言葉に、リシェルは満面の笑顔で頷いた。
ーーーこの世界に生きる、人族、魔族に告げます。
私は、全ての神々を産み出し、統括する、宇宙の神。
総母神です。
戦いは、終わりました。
勇者は、敗れ消滅しました。
この世界には、今までの神々も滅し、支配は失くなりました。。
これからは、貴方達がどう生きるかは、貴方達次第になります。
これからは、貴方達がどう歴史を刻むかは、自由です。
出来れば、両族、手を取り合う事を願います。
追話。
ミーザが神となり、魔王不在となるので、ミーザは、ガインを指名し、座を譲りました。
サウルの街は、これからは、ガインの長男夫婦、ルイ達が、二代目として、ガインの代わりに街を守ります。
人族の同盟国は失くなり、レオハルトも帝王を降り、人族領全域は新たな国家、総王国イルミアとなり、ルリ・イルミアが、初代女王となり、夫ウォルドが、ルリを支えていく。
世界は、数百年、平和が続き、誰もが笑顔だった。
完全、終了です。
去年の2月22日から書き始め、今日、2月15日、丸1年、この話を書いた事になります。
今の書き方の編集も途中となっていますが、ちょっとずつ、直していきたいと思っております。
初めて書いた話で、行き当たりばったりの思いつきで書き、また途中で2作目、3作目を書いたりしてしまいましたが……やっと、初作品が終わりました。(2作目は、6話で完結)
最後まで、この話を読んで頂いた方達に、感謝しております。
3作目の『特殊能力:カード』は、ちょっと休憩を頂きまして、続きを書いていきます。
あらかたの主人公の能力も書きましたので、敵が出て、新展開になる予定です。
もし、よければ、こちらもよろしくお願いします。
最後ですが、この話を読み、感想、ブクマ登録、評価点を頂けると、凄く嬉しいです。
あまり、ひどい批評は、悲しくなるので、アレですけどね……よろしくお願いします。
マス シゲナ




