0章7 優しい魔族と大悪魔
出来ました。ちょっと難産的な話でした。
よろしくお願いします。
11月12日、スペース、改行を増やしました。
「あと、私達大悪魔の中で一体、サタンだけは魔族、人族、魔力の大小、属性等、全て関係無く、気に入った対象に干渉し、契約を持ち掛ける。
まぁ、それでもやはり、魔力が多い方が、好ましいみたいだがな」
ベルゼブブが、紅茶を飲みながら話を続ける。
「ザーツ、お前も、サタンを知っているだろう?
ミーザ・エスクードの契約の時に、関わっているのだから」
「ああ、アイツ、火属性だからな……」
「そうだ、まぁ、近くに私が居たのも、知ってやって来たのだろう」
「ん、サタンなら面白そうなら、そうするだろうね」
ベルゼブブの言葉に、ルシファーが頷きながら答える。
「ん、さて、いつでもここに居ても仕方ないかな。
聞きたい事があったらベルゼブブに、聞くといいよ。
それでだね、ザーツ君、君にこの子を任せてもいいかな?
と、いうより、君に任せたいんだ」
「ああ、もとより、この子の存在に気づいた時、どうにかして奪えないかと思っていたんだ。
只、国王達には期待していたんだけどな……」
「ん、そんな君だからこそ、この子の父親になって欲しいと思っている」
「何だって?
……いや、待ってくれ!
父親だって?
俺は、この子を国王達から奪うだけ奪って、無責任かもしれないが、知り合いに預けるつもりだったんだ。
それに、ルシファー、お前はどうするんだ?」
「私は、この子と融合する。
今も、この子の力を利用して、顕現しているけど、そろそろ限界が来ているんだ。
だから、君にこの子を育てて欲しいと思っている」
「いや、しかし……」
俺は、ルシファーの言葉に動揺し、混乱する。
「父親だって?
……頭の中では、父親というものを理解しているが、それを実行出来るか、どうかわからない。
俺には自信がない」
俺とルシファーを、ベルゼブブは交互に見て、ため息を吐き、ルシファーに質問をした。
「ルシファー」
「ん、なんだい?」
「後、どれくらい顕現出来る?」
「ん、そうだな……よくて十分程かな」
「そうか、では、ザーツよ」
次にベルゼブブは、俺の方を向き提案した。
「とりあえず、お前が予定していた知り合い……多分、ガインの事だろう?
……それなら、アイツの所に行き、手伝ってもらいながら、お前をが育ててみろ」
「だけどっ」
「やりもしないで、つべこべ言わずやってみろと言っている。
それに、ガインのヤツだって魔人化した子供達を、引き取って育てているんだ。
アドバイスくらい、くれるだろう。
あのお人好しならな」
「……わかった。
やって、育ててみるよ。
ルシファー、それでいいか?」
俺は苦笑し、ルシファーに尋ねる。
「ん、ありがとう。
ガインっていう人物が、どんな人物なのかわからないけど」
「人というより、魔族だな。
それも、ザーツと達と同じ魔王候補だった。
途中で失踪、出奔したけどな」
「ん、何でなんだい?」
「ガインは、あいつの種族の中でも、突然変異で周りから嫌われていたんだ。
それと、優し過ぎて争う事を嫌っていた」
「ん、よく居場所を知っていたね」
「それは、そうだろ。
失踪に手伝ったの、俺だから」
「ん、なるほど。
……ザーツ君、最後にもう一つ、お願いがあるんだけど」
「なんだ?
まだ、あるのか?」
「この子に、名前をつけてあげて欲しいんだ。
いつでも、この子じゃ、不憫だからね」
「それは、そうだが……俺が付けるのか?」
ルシファーは、笑顔で頷く。
「ん、その方が、この子に愛情がわくだろ?」
「……はぁ、わかった。
そうだな……」
俺は、少し悩んだが、突如一つの名前が浮かんだ。
「リシェル……この子の名前は、リシェル・シュザットでどうだ?」
「ん、リシェル・シュザット……いいね、いい名前だ。
ありがとう、ザーツ君。
これから、よろしくね」
ルシファーは、名前を聞くと微笑んで、リシェルのもとに近づき、右手の平を向け、目を閉じた。
やがて、少しずつルシファーの姿が薄れ消えた。
「ルシファーは、融合したのか?」
ベルゼブブの方に顔を向け尋ねた。
「そうみたいだな。
私達も、ガインの所に向かうか」
と、言ってベルゼブブも、姿を消した。
「そうだな」
俺は、少ない荷物をまとめ、リシェルを抱き上げ洞窟を出た。
此で、0章が終わりになります。
話の長さ的には、序章でも0章でも無いような気がします(笑)
次回から2、3話くらい幕間にする予定です。
相変わらず、行き当たりの突貫作業です。
これからもよろしくお願いします。m(__)m