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新世界の学校生活

祖父は1967年頃、24歳の時にこの世界へやってきた。その計算でいけば、今は83歳になっているはずだ。だというのに、公的な記録に記載されている祖父の年齢は36歳。


一方、僕自身の状況もおかしい。元の世界では高校3年生で卒業を控えていたはずなのに、この世界の僕は15歳。高校受験を控えた中学3年生として存在している。


「時間軸がどう考えても歪んでいる。だが、今ここで悩んでも時間の無駄だ。一刻も早くおじいちゃんに会って確かめなければ……」


祖父と接触するには、ヒーローという立場が最も都合がいい。この世界は「ちから」の発現によって、かつての多種多様な学科は淘汰され、「普通科」と、ヒーローを育成する「能力技術科」の二つに集約されていた。高校大学ともに。


ヒーローになるのに学歴は不要だ。毎月開催される試験に合格し、「能力使用許可証」と「ヒーロー証明書」さえ手にすればいい。ただし、合格率はわずか5%。1000人の受験者のうち、合格者はたったの50人。その5%に入るために学校などで学ぶ人が多い。さらに、活動実績が一定期間なければ資格がリセットされるという厳しい実力主義の世界だ。


「とりあえず、試験を受けてみるか。何度でも挑戦できるんだしな」


空上奏一郎は、謎を解く鍵を握る祖父に近づくため、最初の一歩としてヒーロー試験会場へと向かった。


試験会場は、巨大ロボットの重低音と、受験生たちの怒号が飛び交う戦場と化していた。


「おい、あいつ……棒立ちだぞ!?」


他の受験生が指差す先、空上奏一郎はポケットに手を突っ込んだまま、迫りくる巨大な鉄球を眺めていた。


「……前は指先一つで消せたんだけどな、これ」


ドゴォォォン!!


鉄球が直撃した瞬間、会場に土煙が舞う。誰もが「終わった」と思ったその時、煙の中から奏一郎がひょっこり姿を現した。無傷。それどころか、服の埃を払う余裕すらある。


「悪い。早くヒーローにならないとなんだ」


物理法則を無視した「超回避」。彼は攻撃を避けるのではなく、攻撃が届く瞬間に自分の質量や慣性を書き換え、ひらりと受け流したのだ。


「次は、こっちの番か」


「らあああッ!」


突進してくる複数のロボットに対し、奏一郎はあえて真っ向から攻撃した。


「拳は、『ダイヤモンドより硬い』し、『衝撃を100倍にして通す』!」


ガギィィィン!!


ただのパンチが、大砲のような衝撃波を生んだ。ロボットの装甲がひしゃげ、スクラップとなって吹き飛ぶ。


「あ、あいつ……一人で演習場のロボを全滅させる気か!?」

モニターを見ていた試験官たちが、椅子から立ち上がる。


「最強の能力…まるでかつての…」


最後の一体、ボス級の超巨大ロボが振り下ろす巨大な剣。奏一郎はそれを人差し指一本で受け止めた。


「やっぱり全身の体力強化は少し弱体化するんだな」


ビキビキと音を立てて折れるのは、ロボットの剣の方だった。奏一郎はニカッと不敵に笑うと、そのまま指を弾いて巨大な機体をひっくり返してしまった。


掲示板に貼り出された合格者一覧のトップには、当然のように彼の名前が刻まれていた


「うーん。やっぱり一部分強化のほうがいいな。合格でよかった」


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