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スタート 0.3  作者: プーリ
疑惑
9/53

 青井が戻ってきた。

「先輩、コレじゃないですか?」

 青井の手にはサイン入りの手袋が。

「おぉ、マジか。ありがとう。よくわかったな」

「さっき取材してたの、後ろで聞いてましたよ」

 こういうところが、ボートレーサーとして、後輩として、凄く感じる。目配り、気配り、心配りが完璧に近い。

 誰も見ていない、気にかけていない事にも気付くところが、レースにおいても生かされるのだろう。

 青井が自分の近くにいる後輩の中では実力、人気ともに一番になっていくだろう。

 どちらかというと、自分が先輩でよかったと感じるほどだ。

 こんなに仕事もきっちりとこなす青井の下では、何をするべきか迷ってしまうだろう。

 青井から受け取った手袋をはめ、気合を入れ直す。

 「あの、すいませんけど、大量の塩は勘弁してもらえませんか?」

 ここは青井のためにも、中川さんに直接言う。

「お清めだろ?」

「量が多すぎて、地面も危ないんで、すいません」

 中川さんは不満そうな顔をしながら最後は「ふぅん」と気の抜けた返答をするだけだった。

「集合!!」

 職員の声が響く。

「敬礼!」

 1号艇の自分が掛け声担当のために声を張り上げる。

 誰よりも敬礼の掛け声は気合を入れるつもりだ。

 それは「敬礼」の言葉に、レースに出場する選手6人全員が無事故で完走しゴール出来るように、

そしてスポーツマンシップを守り、クリーンなレースになるように、そして全員の気合が入るように。

 全員が全力でかかってこいといったところだ。

 気がつけば、中川さんが指先につまんだ塩をパラパラと撒いている。

 お清めと言うなら、その量が正しいだろう。

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