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水上の大型ビジョンに表示されているオッズにふと目をやると、平日の夕方で大きいレースではないのにもかかわらず、売り上げがかなり上がっているのが確認できた。
一流のレーサーとは言えないが、このレースは自分がなかなかの売り上げを持っている。
オッズのほぼすべてが自分の1号艇が1着での購入になっている。
ここまで来たら、応援してくれる人やファンの期待を裏切るわけにはいかない。
5号艇の青井もさすがに人気を持っている。
ファン的には、地元の自分と青井のワンツーフィニッシュを期待しているのだろう。
「始動!!」
さぁ、いよいよ本番だ。
職員の声に合わせモーターを始動させる。
前を向き、シールドを下げ、ヘルメットを2回コツンと叩く。
今のところルーティンも完璧で、いつも通りだ。
出走のランプが灯り、コースへと飛び出していく。
さぁ、中川さんは…… やはり展示のように無理矢理割り込んでは来ない。
すんなりと2コースに入っていった。
無理せず自分のできる範囲で全力でレースすることを選択したようだ。
展示と同じく、自分で決めている目標物、時間、距離、そして感覚でスタートラインを目指していく。
中川さんはスモークのシールドのため、こちらからは見えないが、大時計だけではなく、
こちらもチラッと見ている気がする。
「よし!!」
タイミングを計り、スロットルレバーを全力で握り、ボートを全速力にしてスタートラインに向かう。
少しだけ中川さんの船先が自分のボートより出ている気がする。
だが、出足に関しても少しだけは妥協したので、これでいい。
ターンの先に必ず答えは出る。
スタートまで5メートル。
まばたきと呼吸を少し止め、一気に集中力を上げスタートラインを通過する。




