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のんびりタイムです。

 数日後、騒動を起こしたレイモンド侯爵子息たちは予定通り処罰を受けました。それぞれ婚約解消をして、自宅での謹慎となり学園を去りました。どうせまた帰ってきますけど。

 ジャスミンさんは停学となりました。最後まで「リセットさせなさいよ!」とか喚いていたそうですが。

 自宅に強制送還させられた後は子爵次第ですね。子爵がまともなら、恐らく退学させられるでしょう。よくてニート、修道院に入れられるという可能性も十分ありますね。まあ彼女の今後の行動次第だと思います。

 そして、私はと言うと……。


「……ジーク、邪魔しちゃダメだからそろそろ降ろして……」

「だーめ。ユリアは僕の膝の上にいなきゃ」

「いやでも今お仕事中でしょ?」

「大丈夫。ユリアが近くにいてくれる方が早く終わるから」

「何それ……」


 はい。これ多分もう20回ぐらい同じやりとりをしています。

 今日は休日なのですが家でやることがなくて、王宮に遊びに来ていました。いや王宮は遊びに行くところではないのですけれど、国王夫妻が来てもいいと言ってくださったので、お言葉に甘えて遊びに来ていました。

 そして、ジークは自分の仕事があるのですが、なぜか私を抱っこしたまま仕事したいと言い出したのです。私は反対したのですが、久し振りの捨てられた子犬の目をされて、思わず了承してしまいました。が……。


「……ねジーク、やっぱり私降りた方がいいんじゃないかな?」

「何で?」

「膝の上にいたら邪魔でしょう?」

「僕はユリアを邪魔だなんて思わないよ。ユリアがどうしても嫌なら諦めるけど……」


 あーまたシュンってなった……絶対ジークは分かってますよ、私がこうなったジークに弱いって。


「……お仕事、早く終わらせてね?」

「ああ。そうだ、一通り終わったらちょっと遊びに行こう?」

「いいの?」

「もちろん」

「やった!」


 久し振りの、ジークとのお出かけだ……!


「ん? ふふ、どうしたのユリア?」


 ……あ。テンションが上がって、ついジークにスリスリしてしまいました。ええい、ついでにいろいろしてやる!


「ちょ、待って待って、どうしたの?」


 私はそれには答えず、ジークをぎゅーっと抱きしめました。


「なぁに? 構ってほしいの?」

「……そ、そんなこと、ないもん……」


 あ、どうしましょう、なんか顔が熱くなってきてます……。


「ふふ。ユリア、顔真っ赤だよ?」

「真っ赤じゃないし……」

「はいはい、真っ赤じゃないんだね」

「むう……」


 すると、ふわりと頭を撫でられる感覚がしました。


「僕の可愛い恋人が拗ねちゃいそうだから、ちょっと仕事休憩するね」

「……!」


 こ、恋人……!


「あ、また赤くなった。可愛いなぁ」

「う、うるさい……」

「ほら、もっかいくっついて? ぎゅーしよ?」


 ……そんな風に言われたら、する以外に選択しないじゃないですか。


「ぎゅー。いい子いい子。いろいろあったし疲れたね。よく頑張ったね」

「……ジークが、ジャスミンさんを好きにならなくてよかった」

「僕はあの人を恋愛対象にする方が難しいと思うんだけど。でも、たとえそうなったとしても、ユリアは目を覚まさせてくれるでしょ?」

「ていうか目を覚ましてくれないとやだ」

「大丈夫だよ。僕はユリア一筋だから」


 ジークに抱きしめてもらって、頭を撫でてもらって、なんだかふわふわした気分になってきました。ちょっと眠気も……。


「ジーク、なんか私、眠くなってきちゃった……」

「ならこのまま寝ちゃいなよ。落としたりしないから安心して?」

「重たくない?」

「むしろ軽すぎるよ。心配になるからもっと食べて?」

「今で丁度いいんだけど……」


 そんな風にお喋りをしている間も、瞼がだんだん落ちてきてます……。


「ユリア、今日このまま泊まっていく?」

「……?」

「明日も学園はないし、侯爵には伝えておくよ」

「……うん」

「よし。まだ晩餐までは時間が結構あるし寝てな。時間になったら起こすから」

「ん、ありがと……おやすみ……」

「お休み、ユリア」


 その温かい声を聞いたのを最後に、私の意識は夢の中に落ちていきました。






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