今……何時ですか?
「ん……んぅ……」
なんか、ちょっと眩しい気がします……。
「……ア、……リア」
え? 誰……?
「……ユリア、もう朝だよ。起きて」
あ……さ?
「……あれ、私……」
「おはよう、ユリア」
「!?」
いや起きて数秒でジークの顔がどアップになってるのは心臓に大変よろしくないのですが!?
「……おはよう。私いつから……」
「あの後ずっと目を覚まさなかったよ。起こすのも可哀想だからしばらくは寝させようってなったんだけど……」
「朝までぐっすりでした、と」
「そういうことだね。よく眠れた?」
「うん、ありがとう」
……何で王宮という常に気を張っていなければならないようなところで、こんなにぐっすり眠ってしまったんでしょうかね。しかもジークがこんな至近距離にいても起きないなんて。
「きっと、ユリア自身が思っているより疲れていたんだよ。ユリアは頑張り屋さんだから、ちゃんと休まないと」
「そこまでじゃないと思うんだけど……」
「丁度いいから今言うけど、ユリアはときどき頑張りすぎなところあるからね? いつ倒れるんじゃないかってずっと心配なんだから」
「そうなの?」
「うん。そうだユリア、侯爵邸に帰っても特にすることないでしょ? 今日も一緒にいよう?」
「お仕事は?」
「昨日全部終わらせたから大丈夫だよ」
「じゃあ、いいかな」
「よし。ユリア、何かしてほしい事とかある?」
「んーっと、そうだね……」
してほしい事、ですか。普段からお願いをしたら大抵は叶えてくれますし、お願いをする前に気付いてくれることもあるくらいなので特にないんですよね……。
「あんまりないかな……」
「そう? デートとか言うと思ったんだけど」
「え? いいの?」
私たちが街に出るなら絶対にたくさんの護衛が必要になります。そんないきなり言って大丈夫なのでしょうか?
「大丈夫なの?」
「護衛の準備もできてるよ」
「本当に?」
「そんなことで嘘ついてどうするの」
まるで「行きたくないの?」とでも言うかのように拗ねた顔をしていました。ちょ、ちょっと可愛いな……なんて思ってないですからね!
「ジーク、今日はデートしたい」
「分かった。まあまずご飯食べよう? お腹空いてるでしょ」
「うん」
「母上にも手伝ってもらうか?」
「え? それはいくら何でも……」
流石に王妃様にデートの支度を手伝ってもらうのはまずくないですか……?
「いいんだよ。母上も会いたがってたし」
「そっか」
そして丁度タイミングよく部屋のドアがノックされました。そういえばこの部屋王宮のどの辺なんでしょうか? そんなことを考えていると、部屋の外から声が聞こえてきました。
「お召し物をお持ちしました」
「どうぞ」
「失礼いたします」
「……ごめんね、ちょっと外で待っててくれる?」
「いいよ~」
いくらジークでも着替えるところを見られるのは嫌なので外に出といてもらいました。
「……って、ベル!? 何でここにいるの!?」
「いや気付くの遅くないですかお嬢様」
入ってきた侍女はまさかのベルでした。全然気付きませんでした。
「旦那様に頼まれましたので。昨日ほど急いでいるわけではありませんが、殿下を待たせるのもよくないので早く終わらせますよ?」
「……はい」
* * * * *
はい。いつものようにベルによって別人に変えられました。もはや詐欺じゃないかっていう感じです。
「お嬢様、終わりましたよ」
「……もう疲れた」
「何を言っているんですか、今日はデートなんでしょう? あまり殿下を待たせすぎてはいけませんよ」
「何でデートって知ってるの?」
「盗み聞きしていました」
「……!?」
いやいやベルさーん、堂々と犯罪臭のする発言をしないでくださいよー。
半ば強引に部屋から出された私は、外で待ってくれていたジークからまた『可愛い』攻撃をされるとは知らずに、ジークのもとに駆け寄るのでした。
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