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他の人たちが帰ってくる間僕は勉強、花澤さんは僕の衣装を直してくれていた。
月曜日に小テストがあるみたいだからちゃんと復習しなければならない。スポーツ科とはいえ勉強は避けられない。でも、体育の授業数が多い。
体育は今ハードル走をやっている。これがやってみると面白い。飛び越えるタイミングを間違えるとハードルが倒れるからリズム感もいるし、普通に走る速さも必要。
走りながらテンポよく跳ぶ。フィギュアにも役に立ちそうだ。
「ねぇ、身長何センチ?」
え、唐突すぎる。なんの意味があって聞いてるんだ?
「身長結構高いよね。その割に細くて軽いし」
ずるいと言ってくるがこればっかりは仕方ない。
「で、いくつなの?」
「170は超えていたと思います」
「超えてるでしょ180前後くらいじゃないの?」
「いや、180はいってないです」
170代なのは覚えている。後半いってたっけな…
「景と晴信と同じくらいだよね」
まぁたしかに国島さんやりは差がないか。
「そうだと思います。でも、花澤さんも高いですよね」
「でも、170後半いってない」
「まだ伸びますよ」
人間20歳まで伸びるらしいし。見た感じ173か4くらいでしょ?ならすぐいくと思う。
「だと良いけど。あと、花澤さんじゃなくて良いよ」
え、花澤さん呼びダメなのか……えぇ、…
「じゃあみとさんで…」
「みと。あと敬語やめて。同い年なんだし」
敬語もだめなの?もうこれ癖みたいなものなんだけどなぁ…だからやめてと言われても……
「分かっ、…た」
「うん」
まぁそうだよね。同じ空間に住んでてずっと敬語だと固いよね。
「よし、花つけ終わった」
え、速くない?と思ってみたらもうそのまま復元されていた。凄いな。技術もすごいし花を置く場所にもセンスが感じる。
「ありがとう」
そう言って受け取ろうとしたら、
「まだだよ。ここからもう少しアレンジするの」
そこからアレンジ出来ることあるか?もう十分なんだけどなぁ……
「どうしようかな…片方の裾切って…白の舞踏はフワってなってるからこっちは体のライン見せても良いな…」
「白の舞踏ではなく死の舞踏」
「あ、死の舞踏か」
白の舞踏って一気に上品さが増した気がする。気のせいかな。
「ちょっとこれ着てみて」
「え、分かった」
洗面所に向かい急いで着てきた。花と葉は結構頑丈に作られていてこれなら4回転しても落ちなさそう。
リビングに戻ってきたら花澤さんが消えていた。人に着てこいと頼んでおいてどこに行ったんだ?
「ごめん。そんな速く着替えてくるとは思わなかった」
メモ帳とメジャーを取りにいっていたみたいだ。メモ帳は分かるけどなんでメジャー?何か測るのか?
「下って何履くの?」
「赤と黒のグラデーションになってるのを履くよ」
「ふ〜ん…なら、もう少し赤強くしても良いな…」
どんなふうにしたいのか分からないからもう任せよう。僕が考えたって分かりやしない。
「ラメは白の葡萄の方に入ってるからなぁ…」
ついに白の葡萄になってしまった……これ、訂正するべき?いや、もうしなくて良いや。僕は白の葡萄を踊ります。
「ラインストーン入れちゃうとなんか違くなるよね」
「中心が赤い薔薇をところどころに入れて…」
「裾のところにラメだったりラインストーン入れたりしたら?」
「あ、それだ。裾に何もないからちょっと地味に見えるのか」
証明当たった時に光るからより華やかになるし。
「インスピレーションが沸いてきた」
嬉しそうに楽しそうに言った。本当に裁縫が好きなんだな。申し訳なさが少し減った気がする。
「髪もちょっと弄りたいんだよね」
髪は自分でやるかな。ていうかあまり近くで顔を見られたくない。
「髪は自分で出来ますよ」
「……やりたい。メイクからヘアセットまで」
「えぇ…」
もうこの人職業間違えてるって…絶対芸能人やるべきじゃないって…
「一回だけで良いから」
「……気が向いたらやらせてあげる」
「それやらせてくれないやつじゃん」
よく分かってらっしゃる。顔見られたくないからやらせるわけない。
「あ、そうだ。髪長いからさヘアアクセ作って良い?」
「男子はあまりアクセサリーつけないよ」
「でも禁止されてるわけじゃないでしょ?」
「そうだけど落ちたら減点だから嫌だ」
「えぇ……」
「えぇじゃない。その落ちて減点されて優勝逃しましたってなったら嫌」
「そっか…」
こればかりは譲れない。それに僕はアクセサリーとかあまり似合わないから。
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もう5時過ぎ。そろそろご飯を作り始めなからばならない。勉強もキリが良いしこれなら小テストも問題ないだろう。
冷蔵庫の中を一通り見た感じそぼろにするか?卵とそぼろで丼ものにするか。
あとはほうれん草のおひたしで、味噌汁作るか?多いかな?でも味噌汁久しぶりに飲みたいな…でも、具材が少ないな…玉ねぎとワカメとじゃがいも入れれば良いかな。
ていうかこっちは甘味噌なのか……辛味噌が無かったから仕方ないけど大丈夫かな。僕飲めるかな。
好き嫌い今のところないし大丈夫だよね…?
「あ、おかえり」
一ノ宮さんが帰ってきた。大荷物だけどなんで?
「ただいま〜ってその頭どうしたの!?」
頭?あぁこの包帯の事か。
「切りました」
「えっ切った?どうやったらそこ切れるの?」
「今日リンクで逆恨みされて女子に吹っ飛ばされた時に氷で切ったの」
「痛そぉ…なんで、逆恨み?」
「なんで?」
「あの子に下手なんでしょって言われて頭にきたので実力で叩き潰してやったから」
「だって」
「それその子が悪くない?」
「はい。でも少々大人げなかった気もします」
あの子が2回転で苦戦してたから3回転飛んだのはやり過ぎかもしれなかった。
「いや全然そんな事ないと思う。ていうか切っただけで済んで良かったね〜」
「いや、脳震盪起こしたよ」
「脳震盪!?なら、料理してないで休みなよッ!」
「軽い脳震盪だけなので」
「いやいやそうゆう問題じゃないでしょ!」
と言って僕から包丁とエプロンを取り上げソファに座らされた。取り上げて座らせるまでが速すぎない?プロじゃん。
「今日は作らなくて良いよ!絶対安静!分かった?」
別に料理しても問題ないのに…と言っても聞いてくれる雰囲気じゃないな……
「返事は?はいかいいえ。二文字以内で答えて」
それ『はい』しか言えないじゃん…
「はい」
Noって言えば良かったかな…あ、言われた選択肢に無いわ。
「よろしい。とりあえず今日は出前取るか」
「なにか食べたいものある?」
え、食べたいもの?何かあったかな……
「特にないです。なんでも良いですよ」
「それが一番困るんだよ。じゃああの二人が帰ってきたら聞くか」
「ていうか神凪の下の名前何」
「え、言ってなかったっけ?」
「言ってないよ。名字しか言ってない」
あれ…そうだっけ……覚えてないや。
「朔。神凪朔だよ」
「朔ね。オッケー」
「いつのまにそんな仲良くなったの?」
「今日です」
「同い年だし選手ではないけど今スケートやってるし。割と共通点があったから仲良くなろうと思って」
「じゃあ俺とも仲良くなろうよ!」
構わないけどどう仲良くなるの?
「俺のこと晴信で良いよ。俺は朔って呼ぶから」
「せめて晴信さんで。僕年下なので」
「えぇ…?それだとなんか距離あるじゃん」
距離あると言われても先輩を呼び捨てにするのはちょっと気が引ける。
「朔。晴信って意外と頑固だから折れた方が良いよ」
えぇ…まぁ確かにさっきも絶対意思を曲げないって気持ちが全面に現れてたしなぁ……
「分かりました」
「敬語なし」
「…分かったよ……」
「やった〜」
この人たち絶対におかしい。タメ口とか呼び捨てを許可するなんて…今までこんな人いなかった。
「でさずっと思ってたんだけど髪長くない?」
「それ思ってた。前髪上げないの?」
そう言って前髪をどかそうとしてくるからやめてほしいという感情が先走って手を振り払ってしまった。
「あ、……」
「ごめん嫌だった?」
「…うん。ごめん。手振り払っちゃった。怪我してない?」
反射だったため力加減が出来ていない。怪我してないと良いけど……
「してないよ〜」
ホッ…良かった…自分が怪力じゃなくて良かったな。
「でも鼻とか口しか見えてないけど顔整ってると思うんだよね」
「それな」
あなた達に言われてもなんも嬉しくない…いや、イケメンなれしてる人たちからイケメンと言われるのは喜ぶべきなのか?
「ありがとう。でもそんな期待する顔じゃないよ」
「そんな事ないと思うけどね〜」
そんな事があったら嫌なんだよ…期待ハズレみたいな顔をされるのが嫌だ…
「まぁいつか見せてね」
「うん」
いつか見せるよ。それがいつになるか分からないけどね。




