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~・~ 2 (4) ~・~

ご飯を食べて午後もみっちり練習してたらいつのまにか下校時間30分前になっていた。


「もう終わりかな…」


切り上げてカバンに靴をしまいストレッチをした。結局あの時のように滑る事が出来なかった。


変わらず今までのコーチの思い通りにはめたスケートをした。


コーチはこれが武器だと言ってきたけど僕はこれ"も"武器にしたかった。何通りもの表情、表現が欲しかった。


これは欲張りなんだろうか。いや、欲張りだとしても叶えるために努力をするんだ。でも、努力の仕方が分からない。


笑い方を忘れた。楽しい、嬉しいなどの感情はわかる。でも、どうやって表現するんだっけ。どうやって顔に表情を出すんだっけ。どうやってあの時は僕がやりたいスケートが出来ていたんだろう。


そんなネガティブな考えは一つの通知音によって終わった。


スマホを見たら花澤さんからのSOSだった。一体何があったんだ?そう思って続けて送られた通知にはこう書いてあった。


『あのコーチに纏わりつかれてる。助けて』


あのコーチって朝話してた人か?纏わりつかれてるって何があったらそうなるのか……


『俺ら行ったら悪化するよね』


『絶対来るな』


あの人たちは行けない。そうなるとこの助けてというのは僕に向かっての言葉なのか?これ既読つけた方が良いよね。


と思って既読をつけようとしたら宮代さんから電話がかかってきた。いや、あの人と連絡先交換してないんだけど。勝手に追加したのか?って出なきゃ。


「はい」


[あ、出た。お前見たか?]


「花澤さんがコーチに付き纏われてるんですよね」


[知ってんなら話が速ぇ。お前いってこい]


「…分かりました。もうちょっとしたら行きます」


[今いけ!!]


いやストレッチが………仕方ない…


「…はい。今行きます」


そう言ったら切れた。はぁ…帰ってストレッチするか。そう思って僕は急いでリンクに向かった。


_____________________________________________



リンクに着いて中に入ったら花澤さんと凄い話しかける例のコーチがいた


状況を見る限り一方的に言い寄られてる感じか。


花澤さん可哀想だな。あ、傍観してる場合じゃない。助けに行かなきゃ。


一様あのグループに一報をいれておこう。


『花澤さん。リンクに着きました。僕がそのコーチを引き止めておくのでその隙に帰ってください』


「すみません。遅くなりました」


「あれ?君誰?」


まぁこの見た目じゃ分かんないか?


「神凪朔と言います」


「え、嘘!?あの神凪くんなの!?」


「そうです」


「えぇなんでここにいるの?」


「東京の学校に通う事になったので上京してきました。休日はこのリンクにお世話になるので今日は挨拶にと思いまして」


「そうなんだ!あ、そうだ!私景くんに会うんだ!だから、もう行くね!」


「あ、三浦さんってどこにいるか分かりますか?」


「三浦くん?えぇっと…分かんないなぁ…でも、東京のどこかにはいるよ!」


このリンクじゃなくて東京なのか。もうそれなら東京にいるかも怪しいな。


「そうでしたか。ところでその景くんというのはどなたなんですか?教え子ですか?」


「違うよ!もしかして朔くん景くんのこと知らないの?景くんはすごくイケメンのモデルなんだよ!」


あの人モデルだったんだ。てっきり俳優かと思ってた。


「そうなんですね。景くんのこと推しているんですか?」


「そう!しかも私の彼氏なの!」


いや、絶対嘘。年齢的にもアウトだろ。


「え、そうなんですか?」


「朔くんには特別に教えたんだからね?みんなには秘密だよ?」


いや、これは宮代さんに言わなきゃな…


「あ、じゃあそろそろ行くね!」


「どこにですか?あの人もういないですよ?」


「え!?あ、本当だ!どこ行っちゃったんだろう…ちょっと探してくるね!」


「いってらっしゃい」


探しても見つからないよ。だって花澤さん家に着いたみたいだから。さて、僕も帰りますか。


_____________________________________________



帰ってきたは良いが今からご飯作るの?疲れたな…


と思うことが、予想できていた昨日の僕は一週間分の食べる料理の具材を切っておいた。今日は野菜野菜炒めにでもしようかな。


「あ、おかえり。何作るの?」


「野菜炒めです」


「あ、そうなの?てか、みとのこと助けてくれてありがとうね」


「いえ。お礼言うなら宮代さんに言ってください」


「景?なんで?」


「僕に行けって言ったの宮代さんなので」


国島さんなら納得できたけどまさか宮代さんとは。普通にそうゆう困り事傍観してる人なのかと思ってた。ちょっと印象変わった。


ていうか傍観してたのは僕の方か。


「だとしてもお礼は言わなきゃだよ」


「…そうですか。では、受け取っておきます」


「うん。そうしといて」


花澤さんが言うならまだ分かるけどなんで一ノ宮さんが言うんだろう。意味がわからない。まぁでも悪い気はしないから良いか。


_____________________________________________



ご飯を食べ終え、部屋に戻ろうとしたら花澤さんに話しかけられた。


「ねぇ今日の事だけどありがとう。お礼したいんだけど何がいい?」


「お礼…」


お礼いらないんだけど断るのも無粋だよな…何かあったかな……お金かからないものでやって欲しいこと………


あ、あるじゃん。僕がやりたくないもの。


「花澤さんって裁縫できます?」


「出来るよ」


「なら直してほしいものがあって…」


そう言ってズタボロ衣装を持ってきた。


「この花と葉を縫い付けて欲しくて…」


花と葉が蔦のように絡まってるような衣装だった。これを再現して欲しいと頼んだら即答でできると言われた。


「でも、この葉も花じゃ足りないからこっちで付け加えていい?」


「構いません」


「何踊るの?」


「メフィスト・ワルツです」


知らなそうだな…まぁそれもそうか。


「もう一つは?」


「死の舞踏ですけど…」


「その服ある?」


「ありますよ。いりますか?」


「うん。貸して」


そう言われたので急いで持ってきた。こっちは割とシンプルでマットの黒にシルバーの線が斜めに入っている。あと、裾がヒラヒラしていてラメがついている。


衣装と系統が被らないようにするのかな?


「これいつまでに完成させれば良い?」


「できれば来月中には完成させて欲しいです」


「分かった」


よし。これで裁縫やらなくてすんだ。まぁその代わり料理を頑張りますか。


「じゃあお願いします」


「任せて。裁縫は僕の得意分野」


家庭科が得意分野とは言わないんだね。裁縫限定なんだ。まぁ僕も家庭科じゃ裁縫以外限定だから人の事言えないな。うん。


とりあえず完成を楽しみに待ってますか。

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