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【本編終了】『幼馴染の境界線 ―僕の祈りと、君の憧れ―』  作者: サッサン
アフターストーリー第1部 第2章:1学期編

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第2章 第二十二話:応援合戦と勝負の行方

体育祭は順調に進み、大きな問題もなく午前の部を終了した。

昼食のため教室へ戻ろうとする浩紀たちの元へ薫がやってきた。


「浩紀お兄ちゃん、お疲れさま。リレーの時の兄ちゃん凄くかっこよかったよ!」


「ありがとう。薫ちゃんも借り物競走お疲れ様」


「お兄ちゃんもね。それで一つお願いがあるんだけど……」


薫が上目遣いに浩紀を見た。


「なんだい?言ってごらん」


「応援合戦で男子の制服着ないといけないんだけど出来たらお兄ちゃんの制服借りられないかな?」


「大きさがだいぶ違うけどいいのかい?」


「お兄ちゃんの制服を着たらきっと、お兄ちゃんに守られてるように感じて、安心してできると思うから」


「そういうことなら全然かまわないよ。今から一緒に教室へ行くかい?」


「うん!」


薫はそう言うと浩紀の腕に抱き着いた。


「ちょっと薫、なに抱き着いてるのよ!ヒロは私のヒロだっていつも言ってるでしょ!」


「お姉ちゃん、私もいつも言ってるよね。私はお兄ちゃんの可愛い妹なんだって」


自分で『可愛い妹』と言う薫であった。

ここで浩紀が仲裁案を出す。


「アン、よかったら反対側の手が寂しいんだけどな……」


浩紀のその言葉に目を輝かせて抱き着く杏奈であった。

その光景を彼女のいない男たちが殺気を込めて睨んでいた。


ーーー


昼食も終わりグランドへ戻ってきた浩紀たち。

午後の最初の競技は応援合戦からであった。

応援合戦は学年ごとにグラウンドの中央に出て行い、複数人の採点を行う教師たちがそれを見て回るようになっている。1位が10点、2位が9点と順位によって点数が決まっていた。


まず最初に出てきたのは1年生であった。

その頃入場ゲート付近では薫達2年生を先頭に、その後ろで杏奈やケイティたち3年生が待機していた。

ちなみに薫のクラスでは男子が女子の、女子が男子の制服を着て行うようであった。

それに対し、浩紀のクラスは女子だけで編成されており、全員がチアリーダーの恰好をし、手にはポンポンを持っていた。

ちなみにチアリーダー部に所属する生徒が三人ほどいたりする。また、ケイティも中学時代にチアリーダーをやっていたことがあるらしい。


1年生が終わり薫達2年生がグラウンド中央に入っていった。

2年生が全員配置に着くと、応援合戦用の音楽がスタートした。


薫たちのクラスは女子が力強く、男子が優雅に踊る面白い組み合わせの応援となっていた。

浩紀がその光景を見ていると、不意に薫と目が合った。

その瞬間にこっと微笑んだ薫にドキッとする浩紀であった。

その後2年生も終わり杏奈たち3年生が配置に着いた。

音楽とともに応援合戦が始まった。

杏奈たちは、肩を組んで一列になり、リズムに合わせて足を高く上げるパフォーマンスなどのラインダンスを行っていた。その際杏奈は浩紀に向けてちゃっかりウィンクをするのだった。さらに、チアリーディング経験者4人による大技で、ケイティを一気にトップの高い位置に挙げて、そこでケイティが綺麗に片足立ちを決め、ヒールストレッチやアラベスクなどの柔軟性を活かしたポーズに変形させると、会場から大きな歓声が上がった。降りる時にケイティは浩紀に向かって投げキッスをする余裕さえ見せていた。


こうして無事にケガもなく応援合戦は終了した。

結果は10点満点で杏奈たちが10点、薫たちが10点であった。

またもや引き分けであった。


薫と杏奈が浩紀の元へ戻ってくると、彼に詰め寄った。


「ヒロ、こうなったら勝敗はヒロが決めて!」


「お兄ちゃん、お願いします」


二人の圧に後ずさる浩紀に、沙織が助け船を出した。


「二人とも落ち着きなさい!浩紀に選ばせるのはさすがに酷なんじゃない?浩紀にとって杏奈は『大切な恋人』で、薫は『大切な妹』なんだから、どちらかが悲しむようなことは言いづらいと思うわよ」


「言われてみれば確かにそうね。ヒロごめんね。でも勝敗はどうやって決めたらいいの?」


「それなら私に任せなさい!私なら二人のことも良く知ってるし、浩紀のことで二人のどっちかが落ち込んでも気にしないわ」


そう言って胸を張る沙織を二人がジト目で見ていた。


「まあ、いいわ。それじゃ決めて頂戴」


杏奈が答えを求めた。


「どんな結果になっても恨みっこなしで、ちゃんと結果に従うのよ」


杏奈と薫がうなずいた。


「では結果を発表します!……今回の勝者は……『ケイ』です!」


「ちょっとどういうことよ!ケイは勝負に参加してないじゃない!」


「お姉ちゃんと意見が同じなのは癪ですが、ケイさんは今回は関係ないと思います……」


ここで沙織が顔の前で人差し指を左右に振ると二人に説明を始めた。


「今回の応援合戦では杏奈も薫もそれほど目立っていなかったからね。それに引き換え、ケイは凄かったじゃない!だから今回の勝者はケイに決定しました!もしかして、あなたたち私の結果に従うって言ったのはうそだったのかしら?浩紀は噓をつく女のことを信用できないんじゃないかしらね……」


沙織の言葉に悔しそうに黙り込む二人であった。

そして、急遽名前を呼ばれたケイティが驚いた表情を見せていた。

沙織がそのケイティに声をかけた。


「ケイはまだ東京観光とかしていないんじゃない?」


「私東京はまだ池袋しか行ったことないです」


「それならこの機会に、浩紀に東京観光案内をしてもらえばいいのよ!」


「それはとても素敵な提案です!」


ケイティが嬉しそうにその提案に乗った。

その横では浩紀もこれなら問題がないと頷いていた。


「まあ、そういうことなら今回はケイに譲るわ……。薫もいいわよね?」


「仕方ないですね。でも別の日に埋め合わせしてくださいね」


薫はそう言って浩紀にウィンクしたのだった。


「だからそういうのはまず最初に恋人の私に断りを入れなさいよ!」


「頼んでもどうせ『いいよ』なんて言わないじゃないですか」


「当り前よ!ヒロは私のヒロなんだからね!」


そう言って胸を張る杏奈とそれをジト目で見る薫。

そんな二人のいつものやり取りが繰り広げられるのであった。


第2章第22話をお読みいただきありがとうございます。


今回の話で体育祭は終了となります。

次回はケイティとの東京観光案内デートになります。

次回もお楽しみに!


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