第1章 第一話:水族館デート
本編ではシリアスよりな内容でしたが、アフターストーリーではラブコメよりの内容であり、基本的に浩紀と杏奈の甘々な雰囲気や、登場人物たちとのドタバタ劇がメインとなります。ぜひお楽しみください
みんなでお花見を楽しんだ2日後の春休み真っただ中。時間は朝8時55分。
浩紀は黒のジーンズに白のTシャツとその上からブラウンのカーディガンを羽織ったいでたちで河合家の前までやって来ていた。
(まだ待ち合わせ時間まで5分ぐらい早かったかな)
そんなことを考えていると、河合家の玄関のドアが開き、満面の笑みの杏奈が浩紀の元へ駆け寄ってきた。
杏奈の服装は白のニットにふんわりとしたロングスカートの組み合わせで背中にはブラウンのレザー調のミニリュックを背負っており、清楚の中にも可愛さが見え隠れするスタイルであった。
「ヒロ、お待たせ。今日もよろしくね」
「うん。アン、その服装とても良く似合ってて素敵だね」
「あ、ありがとう。ヒロもかっこいいよ」
「ありがとう、アン。それじゃ行こうか」
浩紀はそういうと杏奈と手をつなぎ、二人は寄り添うようにして駅の方へと歩いて行った。
「今日の水族館楽しみだね。ヒロは何が見たい?」
「僕は『天空のペンギン』が楽しみかな。アンは?」
「私はクラゲとアシカが楽しみなの!」
そう言いながら杏奈は誰もが振り返りたくなるような笑顔を咲かせた。
浩紀はその笑顔を見ながら、杏奈にほほえみ返し、握っている手の力をわずかに強くしたのだった。
(俺はこの笑顔をもう二度と手放したりしない)
心の中で誓うのであった。
ーーー
最寄りの駅から電車に40分ほどゆられていると、降りる駅である池袋に到着した。
地元駅とは違い人があふれていた。
「アン、凄い人混みだし、はぐれるといけないから……」
そう言うと浩紀は杏奈とはぐれないようにしっかりと手を握り直した。
すると杏奈も浩紀に微笑みながら頷き、その手を握る力をぎゅっと込めたのであった。
浩紀は杏奈の手を引いて、目的地の水族館の入っている複合施設を目指して歩いて行った。
ーーー
水族館に到着した二人は入場券を買うために列に並び、10分ほどで入場券を買うことが出来た。
その後、入り口のゲートをくぐった二人を迎えてくれたのは様々な種類の魚たちであった。
杏奈はクラゲのブースまで来ると、水の中を漂っている様々なクラゲをうっとりとした表情で眺めていた。
「アンは本当にクラゲが好きなんだね。品川の水族館でもじっくり見ていたよね」
「だってクラゲってふわふわしてる感じが癒されるんだもん」
「なんか俺、クラゲに嫉妬しちゃいそうだよ」
浩紀の言葉を聞いて、浩紀の顔を覗き込んだ杏奈。
「クラゲに嫉妬なんてしなくていいのに。私の一番はヒロに決まっているんだから……」
そう言うと杏奈は浩紀の右手を両手で包み込むように握り、浩紀の目を見つめながら微笑んだのであった。
浩紀は杏奈のその微笑みを見てドキッとし、頬を少し赤らめていた。
「俺の一番もアンだから」
そういって杏奈の目をしっかりと見返す浩紀であった。
ーーー
屋内から屋外の展示スペースに出てきた二人はさっそく『天空のペンギン』のブースまでやって来ていた。
「ヒロ、見て!ペンギンがまるで空を泳いでるみたいだよ」
「ホントだね。ペンギンの向こう側に高層ビルが見えているのも面白いよね」
たくさんのペンギンたちが浩紀たちの頭の上を泳いでいった。
「あんな風に泳げたら気持ちいいんだろうね……。なんだか見てたら私も泳ぎたくなってきちゃった」
そう言って笑う杏奈。
「そうだね。どうせなら今度の夏にみんなで海に行こうよ。高校生最後の夏の記念にさ!」
浩紀の唐突の提案に驚く杏奈であった。
「ヒロ、勉強とか大丈夫?ヒロは博康さんと同じ大学に行くんでしょ?忙しいよね」
「大丈夫だよ。アンと一緒に海に行くためなら俺は頑張れるからさ」
そう言って杏奈にウィンクをする浩紀であった。
その後、アシカやカワウソ、チンアナゴなど様々な魚や動物を心行くまで堪能した二人はお土産売り場へやって来ていた。
「家へのお土産と、沙織のお土産はどうしようかな」
杏奈が悩んでいるのを見た浩紀が提案する。
「このクランチチョコなんていいんじゃないかな。チンアナゴがモチーフになっているのも面白いし」
「それいいかも。なら家へのお土産はこれで良しと。後は沙織ね。」
そう言って沙織のお土産を探し始める杏奈。そして見つけたのは、箸の頭からひょっこりとチンアナゴが顔を出しているデザインのお箸であった。
「杏奈が沙織の分を買うなら、俺は薫ちゃんにこれを買っていこうかな」
そう言って浩紀が薫に選んだのはケープペンギンのオリジナルぬいぐるみであった。
そんな浩紀を目を細めながら見つめる杏奈。
「ヒロは薫へのお土産を買うの?薫だけ特別扱いしすぎなんじゃない……」
最近の杏奈は薫への嫉妬を隠そうとしなくなっていた。
「薫ちゃんは俺にとってはやっぱり妹みったいな存在だからね。でも、アンは俺にとってのかけがえのない恋人なんだからこれぐらいは大目に見てよ」
そう言って杏奈に微笑みかける浩紀。
「ヒロ、それずるい。私にとってのヒロだってかけがえのない恋人なんだからね」
杏奈の顔は赤くそまっていた。
「アン、俺たちはこれを二人で分けて持たないか?」
そう言って杏奈に見せたのは、人気のペンギンとカワウソがペアになった可愛いキーホルダーであり、友達や恋人同士で分けて持てるようになっていた。
「恋人のアンとこれを分けて持っていたいんだけどダメかな?」
「駄目なわけないでしょ!こんなことされたら一生ヒロから離れないんだからね!」
浩紀は杏奈を抱きしめて耳元でささやいた。
「俺も一生アンを離してあげないから覚悟してね」
そのまましばらく抱きしめ合う二人であった。
浩紀を抱きしめる杏奈の指には、イブの夜に浩紀との愛を誓った三日月の指輪が光り輝いていた。
そんな甘い空気感を漂わせる二人の姿を、チンアナゴのぬいぐるみたちが静かに優しく見守っていた。
アフターストーリ、第1章高校3年生編第1話をお読みいただきありがとうございます。
とうとうアフターストーリーを始めてしまいました。始めたからには腹をくくって精いっぱい執筆させていただきますので、どうかよろしくお願いします。
今回はまだ3年生になる前の春休みのデートの一幕を書かせてもらいました。
少しでも二人の甘々な雰囲気が伝わっていてくれると嬉しいです。
甘々な雰囲気を感じてくれた方はぜひブックマークと評価で二人のことを応援してあげてください。
更にラブラブになってくれるはずです(笑)。同時にアフターストーリー開始をお祝いするご祝儀としての応援もお待ちしております(笑)。
明日も1話、投稿する予定ですのでよろしくお願いします。




