十一章『珍しい奴もいたもんだ』
岬たちと別れた俺は職員室に訪れていた。
もちろん秋月先生に理由を聞くためである。
職員室に入るなり俺は秋月先生に詰め寄った。
「凛たちも合宿に参加させるって一体どういうことですか!」
バンッと机を叩いて抗議する俺を秋月先生はなんでもなさそうに見やる。
「せっかく、穹戯用のフライングシューズも買ったんだ。実戦形式で試合をした方が上達できるだろう?」
「それはそうなんですが……」
だが、穹戯の強豪校である白鷺高校がなんの条件もなしに受けるとは思えない。何かしら理由があるはずだ。
職員室に残っていた教師たちはそんな俺たちの様子を「またか」といったような視線を向けているだけで、注意する様子はない。
つい最近にもこんな光景があった気がする。
いつも秋月渦根という人物は俺の知らないところで物事を勝手に進めていってしまう。
「それに、もう決まったことなんだから仕方ないだろう」
「決める前に相談してくれって言ってるんですよ」
「相談したら了承してくれたのか?」
「うぐっ……それは」
言葉に詰まる。
「合宿は彼女たちにとっても良い経験になるはずだ。それに、大事なのは彼女たちの気持ちだろう」
「それはそうですけど」
「それに夕凪だって、厳しい環境で揉まれることで彼女たちの成長が早くなるのは望ましいはずじゃないのか」
俺は諦めるようにため息を吐く。
「分かりました。いや、納得はしてませんが。凛たちに参加するかどうか聞いてみます話はそれからです」
そう言って、ずっと疑問に思っていたことを聞いてみる。
「それにしても白鷺高校がこちらの依頼を受けるメリットが分かりません」
「ああ、それはだな」
秋月先生はまっすぐこちらを見据える。
「白鷺高校に君に会いたがってる奴がいるんだよ」
「俺に? 秋月先生ではなく?」
一体、誰だというのだろう。珍しい奴もいたものだ。
秋月先生は肩をすくめると、
「会ってみれば分かるだろうさ。そのためにも合宿への参加は前向きに考えておいてくれ」
そう言って苦笑する。
「まあ、彼女たちなら参加したいと言い出すはずだがな」




