第六章 01 ホクトの町
第六章
01 ホクトの町
休憩所とは違う、たくさんの建物が集まった空間。ここがホクトの町に違いない。丸二日泳ぎ続けてようやくたどり着いた。
「やっと着いたー。でも、この二日で食事代とか1,000テニエル越えちゃったよ。魚車にかかるお金とあんまり変わんなかったかも」
「シンは菓子を買いすぎだ。毎日100テニエルぐらい買っていたではないか。休憩所の宿代はどちらも400テニエルで、町の宿屋より安かっただろう。菓子を削れば魚車代よりかなり安く済んだはずだぞ」
「だって疲れて甘いもの食べたいんだもん」
私はノアタムに反論するが、所持金がかなり減ってきたことも事実だ。
私は町に近づきながら、周辺を見渡す。
「町の近くに森があるね。あの辺なら魔物が出そう。明日から稼ぐぞー!」
久しぶりの魔物狩りだ。私は気合いを入れた。
遠景だった町並みはやがて近景になった。ホクトの町は休憩所よりは大きいが、ツウギの町よりは小さかった。タヴィデの町ぐらいの規模のようだ。
私は夜になる前に宿屋を探した。やがて町はずれに一泊400テニエルの宿を見つけた。
宿に入り、チェックインする。宿の設備も他の所と変わりなかった。
部屋に荷物を置き、また町に出る。町外れなので飲食店の多い場所から少し遠いが、ちょっと泳げばいいだけのことだ。私はいい匂いのする店で夕飯を食べた。
海藻サラダ30テニエル、揚げトリポイ50テニエル、メーコとタコの炒め物70テニエル。揚げトリポイは唐揚げのような味がした。
宿に戻り、寝る前に手帳を取り出す。
「三月十三日、ホクトの町に到着、っと」
「まだ三日坊主にはなっていないようだな」
「ならないよ! 毎日ちゃんと書いてるもん! あんたも知ってるでしょ!」
昨日もその前も、休憩所の宿屋でこうして日記を書いているのをノアタムも見ているはずなのに、そういうことを言う。
私がにらみつけてもノアタムは平気な顔でベッドのヘッドボードの上に移動した。寝る体勢に入ったようだ。
私も手帳を片付けて、寝る支度をする。
日記は、昨日まではただの移動だから特筆することがなかったが、町に着いたのだから、また書くことが出てくるはずだ。
ここしばらく稼いでいなかったから、明日からしばらく魔物狩りをしよう。
私は明日に備え、早めに眠りについた。




