第三章 07 この世界で二度目の夜
07 この世界で二度目の夜
海藻と魚卵のサラダは、ぷちぷちとはじける魚卵の食感が楽しかった。ヒトデのスープは、大きなヒトデがぶつ切りにされたものを想像していたが、一センチぐらいの小さなヒトデが何個も入ったスープだった。お星様のようで可愛い。味と食感は、磯の香りのするグミといった感じだった。ギームの麺とイカの炒め物は、イカのパスタだった。海藻ジュースはねっとりしたドリンクで、健康に良さそうだった。
私はそれらを堪能した。合計250テニエル。
「今日も結構食べたなあ……。朝ご飯が50テニエル、お昼が、パンが50でジュースが20テニエルぐらいしたっけ? あと、宿代が500テニエルだから……」
「今日の出費は870テニエルほどだな。それに引き換え、収入はキヴァーヲ一匹とザーコウオ二匹だから、180テニエルぐらいだろうな」
「全っ然足りないね……。とりあえず明日、魔法屋で回復魔法を頑張ってみるよ」
両替で膨らんだ財布から私は食事代を支払い、店を出た。
月は先ほどよりも高く移動し、暗い空の中で輝いている。町もまだ多くの飲食店が入口を開けて賑わっていたが、私はまっすぐ宿に帰った。
「お風呂は入んないわけだし、洗濯も昼間やったし、あとは、歯磨きか」
昨日は宿に入ってすぐに寝てしまったが、今日は寝る準備を整える余裕がある。私は房楊枝を取り出し、今朝やったように歯を磨く。汚れたちり紙はトイレに捨てに行き、トイレも済ませる。そして寝間着に着替える。
「あ、そうだ目覚まし時計」
今朝、時計塔で時刻合わせしてきた目覚まし時計も取り出し、枕元に置く。時計の針は270度、『7』の辺りを指していた。
「今は夜の九時ぐらいってことか」
「うむ。この世界の言い方では『夜の七刻』だな」
「ちょっと早いけど寝るかあ。じゃあ起きるのは……六時ぐらいでいいかな」
「早寝早起きで健康的だな」
私は目覚まし時計の裏を覗き、アラーム用の針を回して180度の位置に合わせた。時計を枕元に置き、部屋の明かりを豆電球ほどに絞る。ノアタムもベッドのヘッドボードの上に乗り、寝る体勢になった。
「じゃ、おやすみ」
「おやすみ」
私はベッドに入り、眠りについた。




