第81話 何か不安になる
「タナカ起きろ、早くしろ」
「う、ううん、何かしたのか」
アルフに起こされる。
「何かいるらしい」
「何かって何だよ」
「さぁ」
「まあいいけど、リズ起きなって」
肩に寄りかかってるリズを起こそうとする。
「うっうん、今起きます」
「それで何すれば」
「知らないけど武器を用意しとけって」
「起きたか」
「でマイヤーどうかしたの」
「何かいる」
「いや何かって何、と言うかここは」
「ここは我が軍の本隊まで後数時間と言ったところか」
「速くないか」
「色々と無茶してるからな、そして何かは外に出てもらえばわかる」
「外、分かったよ」
少し暗い濡れても構わないと思い、特に何も着ずに外に出る。外はどしゃ降りだ。
「なんだあれ」
「………タナカ起きたんだ」
「起こされた、であれは」
「………分からない、イリアが少し調べてる」
「イリアが」
「………うん、イリア頭いいから」
そんな話をしながら、異変を見る。雨雲が1点だけなく光が射し込んでいる。それだけなら、なんらおかしくないのだが。
「何なんだろうねあのモヤモヤは」
「………タナカも見えるんだ」
「見える」
何か変にモヤモヤしているのだ。説明しろと言われてもこうとしか言いようがなく、何だか変なものは変なのだ。
「タナカさんあれなんなんですかね」
「さあ」
リズも出てくる。
「………何だか不安になる」
「メリベルも」
「………タナカも」
「うん、何か不安になる。何でって言われても答えられないけど」
眺めていると不安になる。そこにイリアと一緒に行っていたのだろう、エレナが戻ってくる。
「タナカ起きたんだ」
「ああ今さっき、でエレナは」
「あれ見てたら不安がって」
「あれか」
「………イリア、あれなんだったの」
「あれね、分かんない」
「………イリアも分かんないの」
「ええ、見ただけで不安を煽るものなんて知らないわよ」
「他にわかったことは」
「近づいても不安が大きくなることはないってことかしら、これは近づいたからわかったことだから何もわかってないってことだけど」
「そっか」
何だかよく分からないものがあるために止まったらしい。
「あれはちょうど戦闘予定区域の真上にあるんだ、つまりあそこに行く必要がある」
「………それに通り道があの辺りだから近寄らないと行けない」
「そばによるのか」
「あんまり近寄りたくはないわよね」
「そうですね」
「そうだな」
「うおっと、アルフか」
「おうよみんな遅くてな、早く行こうぜ」
「武器だけは用意した方がいいよな」
「そうね、何があるか分からないし」
「………そうだね」
馬車に戻ろうとする、だがマイヤーに止められる。
『あれなんだと思う』
『知らない、と言うか鑑定とかで分かんないの』
『それで分かれば、こんなところで止まったりはしない』
『だよな、で何か推測とかは』
『それくらいなら、あれ何かを隠してるんじゃないか』
『そう言われれば、モザイクみたいな』
『ああ』
『つまり何かある』
『あそこまで大々的だと良さそうな感じがしないよな』
『良さそうな感じじゃないって』
『まあ近づいてみないと分からないけどな、けど危ない目にあうかもしれないから妹を残してきて良かったよ』
『できれば避けたかったな』
『だが避けられないなら、さっさと越えてしまうに限る』
『お前だって危険じゃないか』
『俺なら大丈夫だ、大丈夫じゃなくても妹の障害となるものは排除してやる』
『あっうん』
「タナカ早く乗れ、行くぞ」
「ああ」




