第82話 俺たち冒険者だろう
「はぁ不安だ」
「タナカさん大丈夫ですか」
「いやあれ見てから不安が離れないと言うか」
「それは、そうですね」
「だろう」
馬車の中はすごく暗く、重い、そして会話もない。だから自分自身の不安を断ち切る意味でも話を切り出す。
「あのさ、さっき見た雲の切れ目から光が差し込んでくる光景ってさ、天使の梯子って言うらしいよ」
「………そうなんだ」
「うんそうなんだよ」
会話が途切れる。空気が重い。
「食事にしよう」
マイヤーがそう切り出しどこからともなく、箱を出してくる。
「さあ食べてくれ」
みんなが手を伸ばす、食事はサンドイッチのようだ。だが無言だ、誰も何もしゃべらない。きっと話せば初めの自分のように不安しか出てこないからだろう。そしたらさらに重くなるかもしれない。今更だが始めに不安を口にしまったことが悔やまれる。
「ああ、もう、みんな空気が重い」
アルフが急に大声をあげる。
「飯くらい楽しく食おうぜ」
「みんな不安なんだ仕方ないだろう」
「何が不安だよ、みんながみんな不安がってたら余計に不安になるだろうよ」
「………それは」
「空元気でも構わねえだろうが、全員辛気くさいよりはそっちの方がましだ」
「けど」
「どうせ不安なんていつもいつも感じてんだろう、だけどこれまではやってこれたんだろう。なら今回だって同じだ、それにタナカが言ってた、天使の梯子だっけか、それに近づくってことだろう。ならその天使とやらに会える楽しみがあるじゃねえか、そういうのを楽しく思えるから冒険してるんだろうが、俺たち冒険者だろう」
「いやそれは言葉のあやと言うか」
「行ってみなきゃわかんねえだろうよ」
また静かになる、だが今までの沈黙とは違い少しずつだが空気が軽くなる。
「そう、だな。行ってみないと分かんないよな」
「そうね、でタナカその天使の梯子だっけどうしてそう言われてるの」
「分かんない、けどそれを見た誰かが天使が登り降りしてるの見たんじゃないか」
「なら期待ありそうじゃねえかよ」
「そう言われればそうかもしれないな」
みんなが少し無理をして明るくしてる感じではあるが、段々と空気が軽く明るくなっていく。
「………天使ってあの神様の使いの」
「ああ」
「………ちょっと見てみたい」
「自分見てみたいよ」
「なら早く飯食べちまおうぜ」
「そうだな」
今度は明るくわいわいと食べ始める、さっきまでとは大違いだ。
「と言うかさっきまで重くて言いにくかったけど上手いなこれ」
「そうですね、これなんのお肉なんでしょうか」
「知らないけどうまけりぁいいだろううまけりぁ」
「そうだよな」
箱一杯に入っていたサンドイッチはすべて食べきった。
「それで、もう少しでつくんだろう」
「あ、ああ」
「ならそんなにないけど荷物をまとめましょう」
「おうよ」
そう言って手早く荷物をまとめ、武器を用意する。武器はS2しかないため、専用のマガジンへの弾ごめを行う。
「ってリズが作ってくれたバックないんだ」
「今材料がないので後でお作りしますよ」
「リズありがとう、けど必要なのは今なんだよね」
「ならよう袋の中突っ込んどくしかなくないか」
「それしかないか」
そんな感じで用意をして目的地へと向かっていった。




