第74話 最低だな
お酒やジュースが入っていた瓶が増えていき、何ものっていない皿が増えてきている。
「タナカさん飲んでます」
「呑んでるけど弱いのだけ、まあ強くないからこれでいいんだけど」
「そうですか」
「それにしたってあの2人は飲みすぎだろう」
空瓶の山を築き、その山を更に大きくしているアルフとササキを見る。
「なんと言うか浴びるように飲むよな」
「すごいですよね」
「タナカコップが空じゃないの注いであげるわ」
「ありがとうイリア」
「どういたしまして、私もここで飲むわよ」
「どうぞどうぞ」
自分とリズとイリアの3人で飲む。
「けどこんなにお酒飲むの久々よね」
「追われてたしね仕方ないよ」
「そうですね、それが今では一緒に飲んでるのですから不思議ですよね」
「そうだな、ってうま、なにこのお酒」
「ササキが秘蔵してた1本らしいわよ」
「なるほどだから美味しいのか」
そのきっと高いお酒をちびちびと飲む、お酒のつまみは塩気が強い干し肉だ。
「あのタナカさん干し肉などの保存食が最低限の量を残してこれで尽きたのですが、よかったですかね」
「仕方ないか、最低限量ってどれくらい」
「マイヤーさんの町までいけるだけの量です」
「ってことは4、5日分か、なら一旦戻るかその量で向かえる町があればそっちにいくか決めたいけど、この辺り詳しくないしな」
「私もわからないわね、あっメリベルちょっといい」
「………なにイリア」
メリベルと一緒にいたエレナが来る。
「今後の話よ」
「あのさ、この辺りの町って」
「………大丈夫聞いてた、けど戻った方がいい」
「そうか」
「………このあとずっと山を上るから」
「山登りか、馬車は使えるの」
「………ちょっと厳しいけど」
「馬車を操る人次第ってこと」
「………うん」
「つまりエレナ大丈夫そう」
エレナは少し考え頷く。
「なら戻って食料買い込んでから山登りいきますか」
「なあ少しいいかい」
マイヤーが会話に入ってくる。
「食料の件なら私がどうにかしよう」
「いいんですか」
「まぁ詫びも込めてだが」
「詫びって」
『いやこの遺跡から出たときに襲わせたのは俺が仕向けた』
『えっどうやって』
『奴隷商人達の後ろ盾が俺だ』
『えっじゃあ奴隷商館に突っ込む必要は』
『ないが、あれは違反者を追放させるのも含んでいたのでな』
『そうかよ、一応聞いておくが何で後ろ盾なんかに』
『鑑定スキルで優秀な人材を集めるには奴隷商人達は便利でな、更に言えば奴隷商人達から解放したことにすれば信用も簡単に得られるしな』
『最低だな』
『それはわかってるさ、だが優秀な人材が多く必要だったからな仕方ない』
『仕方ないって、まあそれは置いとくとして、エレナは一体どこで襲われたのか分かったりしないか』
『あの子か、一応確認したが売買予定は5人だった、つまり彼女をとらえた奴隷商人達はお楽しみとして捕まえたんだろうな、そしてその奴隷商人は戻っていない』
『そうかよ』
地面を叩く。
「タナカさんどうしたんですか」
「いや何でもない、それで食料は欲しい分だけでいいんだな」
「ああそれでいい、渡すところは軍の野営地になるからそこまで一緒だ」
「軍の野営地って危なくないのか」
「大丈夫だ、まだ睨み合ってるだけで後退すれば問題ない」
「いやそれは」
「最速で後退するからな、一応積んできた金なんかは放置してな」
「なるほど」
「タナカそれだと自分達が危なくないかしら」
「…だな」
「戦闘が行われることがなくなれば捕まりはしないだろう」
「不安だな」




