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第61話 倒れろよ

 ぶん殴り、更にぶん殴る。効いてる気がする。

「何なんだよお前は」

「ただの人だよ」

 繰り返しぶん殴る、鎧を着込んでいるから狙えるところは顔面のみだ。こっちに来る前も来た後も格闘戦はやったことがほぼないから威力は高くないかもしれない。だから繰り返し殴り続ける。

「倒れろよ」

 マイヤーの足がぐらつく。

「倒れ、られるかーーー」

 踏みとどまり、殴り返される。金属製の籠手ごと当たりかなり痛い。だがここで倒れて殺されるわけにはいかない、踏みとどまり殴り返す。

「妹の為に、こんな所で、立ち止まれるか」

「他の方法にしろよ」

「他の方法なんてないさ、自力でどうにもならないし、魔王はどこかの誰かに倒されてもういない。これが最後の手段なんだ」

 顔面を殴られる。かなり痛い、と言うかどこか切ったかような気がする。

「俺にとっては妹がすべてなんだ、それの邪魔をするやつは」

「なら殺そうとするのをやめろよ」

「失敗したら、それ以上の戦争を起こすための火種として使うんだよ、死んでいた方が効率がいいんだ」

「最初から失敗する計画なんて」

「失敗した後にあたふたするより、先にそういうもの予定に入れておけば先手先手を打ち続けられる」

 こちらの手が止まりそうになる、だが止まるわけには。

「だからさっさと、倒れろー」

 こちらの足がぐらつく、意識が遠退く。

「タナカ」「タナカさん」「タナカ」「………タナカ」

 仲間の声が聞こえる、意識が戻ってくる。足に力が入る。踏みと。

「倒れろ」

 更に殴られた。踏ん張りきれない。更に何かを踏み、バランスを崩し、倒れた。倒れた衝撃で後頭部を打ち付ける。意識が飛びそうになる。

「殴り続けて殺すことになるなんてな」

 そんな声が聞こえたが、何も言い返せない。睨み付けようとするが、そんなことができているかも分からない。

「タナカを離しなさい」

 イリアの声がする。

「何でロープを」

「タナカがナイフを蹴ってくれたからよ」

「そうかそれでどうする、俺を殺すか。チート持ちがお前らに殺されるとでも」

「やってみなくちゃ分からないじゃない」

 マイヤーは腕をあげ、ナイフを受ける。

「うそ、ナイフが」

「こんなチャチなナイフで倒せるとでも、先に死ぬか女」

「おっと孫を殺させるとでも思ってんのか」

「誰だ」

「通りすがりの魔王ですがなにか」

「なっ」

『おっと動くなよ、後頭部に押し付けられてるのはアンチマテリアルライフルだ、俺のかくし球だよ、お前の頭くらいなら簡単に破壊できるさ』

「なっ、まだ」

『まあ動くなよといったがもう動けないだろうがな』

『拘束魔術が聞いてよかったです、タナカさんあとは任せて休んでください』

『ナイスだ、いつもすまないね』

『それは言わない約束でしょ』

 そんな話し声を聞きながら意識を手放した。

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