第62話 痛い
身体中が痛い。痛い、痛い、痛い。
「痛い」
「タナカ大丈夫なの」
「あ、ああ」
気がつくと知らないベッドの上で寝かせられていた。だが予想はつく、イリアの家のベッドだろう、案内された時見たような気がする。
「それであの後は」
「おじいちゃんと言うか魔王がどうにかしたわよ」
「それならいいや」
「それよりタナカよ、タナカ全身アザだらけだったから、痛いわよね」
「そりゃあね、…思い出したらまた痛みが」
痛いと言うか熱いと言うか、もうよく分からないものが身体中に痛みが。
「痛い」
「痛み止塗り直すわ」
「そんなもの、あったのか」
「おばあちゃんお手製のらしいわよ」
きつい臭いがしてくる。
「臭いが」
「ひどいわよねこれ、リズは耐えられなかったわ」
「獣人だから」
「ええ、そうよ」
リズは確か狼系の獣人だから、犬並みの嗅覚を持っているだろう。人より鋭い嗅覚だとこの臭いは耐えられないだろう。今でも結構ギリギリだし。
「さっきもエレナに手伝ってもらったから呼んでくるわね、食事はどうする」
「食欲無いからいいや、後早くしてかなり痛い」
「分かったわ」
イリアはそう言うと部屋から出ていく。窓から外を見ると昼間のようであった、あの後すぐに起きられるわけないくらい殴られていたはずだから1日くらいたっているだろうと推測してみる。と言うかそういうことを考えてないと痛みに耐えられない。体を見ると全身に包帯が巻かれている。ミイラにでもなった気分だ。
「呼んできたわ」
イリアとエレナが入ってくる。
「包帯変えるから切るわよ」
2人がナイフを使って包帯を切っていく、そうしていくと自分の体がどれだけ酷いかがわかってくる。なんと言うか真っ赤だ。どす黒くなってる所もある。見なければよかった。
「そう言えば自分の鎧は」
エレナは自分から見て、左側の棚を指す。
「あれか」
エレナは頷き、作業に戻る。そこにはスライムが1体いた。ばれると色々とめんどくさそうだった。だが今は自分の体の事が心配だ。
「そう言えば何日くらいたったんだ」
エレナが1本指をたてる、1日と言うことだろう。
「1日」
頷く。予想は当たっていたようだ、だからどうと言うことはないが。包帯が巻き終わる。
「タナカよくあの臭いの中話せるわよね」
「なんと言うか、気にしたら臭いけど気にしなかったら大丈夫と言うか」
「そうなの」
「けどスゴいなこの薬、痛みがもう感じない」
「よかったわ、おばあちゃんの話では魔王との戦いの時でも使える薬らしいわよ」
「……スゴいな」
痛みが和らぐとお腹が空いてきた、丸1日寝ていたから仕方ないかもしれない。
「あのさ、それでお腹が」
「そう言うと思って貰ってきてるわよ」
そう言って食事を取り出す、野菜が多く入っている少しとろみがついたスープだ。かなりうまそうだ。食事をとる。
「ウマイ」
その食事は体に染みわたる美味しさであった。




