第33話 なら買い込むか
町中を適当に歩く、特に何かイベントをやっているわけではないので何も見るものはない。
「そう言えばエレナ、何か欲しいものないか」
エレナは少し考えると首を横に振る、何もないのであろう。
「本当に」
そう言うと握っている手を少し強く握り、笑顔になる。
「無いなら旅に必要な物買いに行きましょう」
「だな」
エレナも笑顔でうなずいた。
武器屋に入り、弾の補充を行うS2やS4の弾は使う人が少ないためか、かなり安く1箱120発入りで25G程であるのだが、ショットガンに関しては1発1Gと高く、さらにショットガン用の追加弾頭として、当たると爆発する爆裂弾に関しては1発100G程してしまう。今さらではあるが食事が5G程なので1G100円といった辺りだろう。
「そう言えばイリアこの先町とかあるの」
「無かったと思うわよ」
「なら買い込むか」
S2、S4の弾を3箱とショットガンの弾を50発、爆裂弾2発、計400G程を買い込む。
「こんだけ買い込めばいいか」
「タナカ買い込みすぎじゃない」
「いいんだよ、あればいざと言うとき」
「それもって歩くのね」
「あっ」
約7箱分の荷物をイリアとエレナに手伝ってもらいながら運ぶ。かなり重い。
「タ、タナカさん、やっと見つけた」
誰かに声をかけられ振り返ると、そこにはマイケルさんがいた。
「あの、彼女達はどうなったんですか」
「助けましたよ」
「なら、よかった」
そう言うとふらつき倒れかける、荷物を手放し支える。
「大丈夫ですか」
「すいません、寝ずに馬を走らせてきたので」
よく見なくても目に隈が見える。
「タナカさんたちに手伝いに来たのに、ご迷惑かけてしまいすいません」
「なら彼女達に会いに行きませんか」
「会えるんですか、是非お願いします」
「その前に拾うの手伝って下さい」
落とした弾を拾い集め、病院へと向かう。ここに捕まっていた人がいて、早めに会いに来たかったのだ。
「ここにいるんですよね」
「みたいですね」
病院の中は人で溢れかえっていた。
「こんなに居たんですか」
「みたい」
「タナカこっちだって」
イリアとエレナを追いかけて進む。そして少し奥の個室へと着く。
「ここだって」
「ネーナ」
マイケルさんが飛び込む。
「誰」
「さあ」
エレナも当たり前だが首をかしげる。だがここにいても仕方ないので中にはいる。そこには8人の女性がいた。奴隷商人から助けた5人と村人3人だ、間違いはなさそうである。だが8人とも寝ており起きる気配はない、疲れていたのだろうから仕方ないが。
「起きるまでちょっとでも荷物おいてくるよ」




