第32話 いいわよ別に
朝を迎える。
「……頭が」
頭痛がひどい、飲んでいないような気がしたが以外と飲んでいたようであった。辺りを見渡すと、狭い方の部屋なのにエレナを除いた全員が倒れていた。
「今日は何もできないな、多分」
エレナの事を思い返すと、半日近くほったらかしになっていることに気づく。
「様子見に行かないと」
アルフ達は大丈夫だろうと思い、放置して部屋を出た。エレナがいる部屋はすぐ隣だ。ノックをする。2回目を叩く前に扉が開き、エレナが抱きついてくる。当たり前だがよほど寂しかったんだろう、抱きついて離そうとしない。
「エレナごめんな」
顔は少し涙目になっている。
「よし、今日は何か買いにいこう」
エレナの顔が少し笑顔になる、だが少しだけ嫌そうだ。
「後イリアも誘うか」
今度こそ笑顔になった。それを確認して元いた部屋に引き返し、倒れているイリアを起こす。
「うぅ、おはよ、タナカ。いつっ」
「イリア水飲むか」
「ええお願いできる」
近くに置いてあった水差しをとる、わずかだが水が入っている。それをコップに注ぎ渡す。
「ありがとう」
「いや、その前に水もらってくる」
そう言うと受付に向かい、水をもらう。受付はすぐに渡してくれた。すぐに戻る。
「タナカもう1杯くれない」
「わかった」
イリアからコップを受けとり水を注ぎ、ついでに自分の分も注ぐ。飲むと頭の痛みが落ち着いてくる。
「タナカ後包帯変えてくれない」
「いいけど、得意じゃないんだが」
「いいわよ別に、傷痕隠すだけだから」
「そうか、ならやるよ」
イリアの顔の包帯をはずすと、顔半分ほどに渡ってやけどの後が出てくる。エレナは不安そうだが、イリアも自分もそんなに気にせずに包帯を変えていく。
「痛くないならもう包帯しなくていいんじゃない」
「見たくない人は嫌な思いをするんだから、見せない方がいいわよ」
「まあいいけど」
「それにエレナだって嫌そうにしてるじゃない」
エレナの方を見る、顔を少し背けていた。
「だな、とできた、キツくない」
「ええちょうどいいわよ」
「ならエレナをつれて買い物行こうか」
「ええ、けど何を買いに」
「さあ、けど旅立つ前に準備しとかないと」
「それもそうね、行きましょう」
エレナも頷き、3人で外に出た。
町中をエレナと手を繋ぎながら歩く、イリアは反対側で同じことをしている。子供連れの夫婦みたいな感じだ、そのために少し気恥ずかしい。気をそらすために話しかける。
「さてどこいこう」
ほぼ何も考えずに出てきたために何も考えていない。
「そうね、どこ行きましょうか」
「エレナはどこか行きたいところは」
首を横に振る、誰もどこかに行きたいところはなかった。
「まあ、適当に歩いてれば何かあるでしょ、多分」
町中を適当に歩き出した。




