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森の守護者  作者: 紫桜
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第15話 異変の兆し


第15話 異変の兆し


部屋には火の揺れる気配と独特な匂いがする。


さくらがキッチンで、そっと鍋をかき混ぜていた。


今日も自分たちで栽培した薬草を使用した薬作りに奮闘中。


「うーん……やっぱり焦げちゃった……」


肩を落とすさくらに、横で見守っていたセレンはそっと笑みを浮かべる。


「大丈夫だよ。少しずつ出来るようになるから」


さくらは恥ずかしそうに顔を伏せる。


「うん……セレンに認めてもらえるように、頑張ります」


火のぬくもりと、セレンの落ち着いた声に、さくらの胸がふわりと温かくなる。


「さっきの手元、焦げそうにはなってたけど、僕はその必死なところ、嫌いじゃないよ」


セレンがふとそう言った瞬間、さくらは思わず顔を上げ、目を丸くした。


「え……?」


「だって、一生懸命なのって、かっこいいじゃない」


さくらは少し赤くなり、俯いて笑うしかなかった。


「ありがとう、セレン」


二人の間に、柔らかな時間が流れる。


こうして隣にいるだけで、さくらは心が満たされる気がした。


だが、セレンはその背後で、森の奥に漂うわずかな違和感を感じていた。


いつもの魔力の流れと微妙に違う――。


「……おかしい」


セレンは小さく息を吐き、こめかみに指を添えて眉を顰める。


さくらは振り向く。


「やっぱり配合間違えてる!?」


慌てるさくらについ笑いが漏れてしまうセレン。


「違うよ、こっちの話」


森の奥……少し、気になる魔力の波がある。


念のため、心の片隅に置いておこう。




森の空気はいつも通り優しく、日差しが木漏れ日となって差し込んでいた。


しかしセレンの心の奥には、微かな警戒の影が落ちていた。


まだ何も起きてはいない、けれど何かが近づいている――そう直感していた。


さくらの笑顔に心を和ませつつも、セレンはそっと杖を握り直す。




森の静けさに、何かの波が。


——もう、始まっていた。




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