猿夢
二次創作になるかな
笑ってしまうのだ。
頬の奥が震え、歯の根がかたかた鳴る。
今日も私は、遊園地の小さな列車に座っている。
木製の座席、剥げた赤と黄。レールは庭園の花壇をぐるぐる回る。
乗客たちは腰を落とすと、もう立てない。鉛を詰められたように重く、私を見つめ、怯えている。
その視線に舌なめずりする。
生温い空気、血の匂い、皮膚の熱。
胸の奥が膿のように蕩ける。この感覚が、私にとっての生の実感だ。
「まもなく──活け造り、活け造りでございます」
濁れた機械の声が列車に響く。少年の胸に、私は刃を突き立てる。
肉が裂け、刃は指に吸い付くように皮膚を開く。
赤いものが跳ね、魚のように飛び散る。
舌に酸味が走る。檸檬をかじった時のように痺れる。
笑いが喉の奥で跳ね、胸の奥の膿みが少し洗われる。
少年は小さく震え、唇を歪める。
隣の女の子も顔を歪め、肩を小刻みに震わせる。
その微細な恐怖が、胸の奥の蕩けを膨らませる。
私は夢の中で、世界の中心にいる。すべてを支配し、すべてを味わう。
列車は次の停車駅に近づく。錆びた回転木馬、枯れた噴水、風に揺れる枯葉。
光が揺れ、床に長い影を落とす。
その影を追い、次の乗客の微細な呼吸の揺れを捕らえる。
笑いが止まらない。恐怖が胸をくすぐり、胸の膿みがさらに蕩ける。
「ただいま──抉りだし、抉りだしでございます」
臓腑を掴む。ぬるりと掌に絡む感触。
手のひらに血の温度、肉の柔らかさが伝わる。
濁った瞳の前に掲げると、彼らは震え、唇を青くして呻く。
それを嗅ぐ。血の匂い、鉄の匂い、腐った甘い匂いが鼻腔を蹂躙する。
胸の奥の蕩けが膿の泡のように沸き、喉を震わせ、歯がガチガチ鳴る。
私は笑う。生理的な笑い。肉と恐怖に溺れる笑い。
列車は次の曲線を曲がる。揺れる床、軋むレール。
夢の異常が感覚を痺れさせ、光と影、音と匂いが歪む。
笑いながら胸の奥で蕩ける膿みを反芻する。
「まもなく──ひき肉、ひき肉でございます」
骨が砕け、肉が潰れ、形が消える直前。
しかしその瞬間、ひとりだけ、乗客は目を開け、現実に逃げ込む。
布団の中で荒い呼吸。汗まみれ、心臓が跳ねる。
列車も、私も、臓腑も、霧のように消える。
だが私は残る。痩せた頬を震わせ、歯をむき出しにし、胸の奥で膿みを泡立たせる。
逃げた者は、次は逃がさない。
夢が現実に折り込まれ、次の列車に腰を下ろす瞬間、必ず刃は彼を捕らえる。
私はその想像に胸の奥を蕩けさせ、唾液を垂らし、指先の震えを抑えられない。
他の者たちは現実でも死んでいる。静かに、無惨に、誰も知らないうちに。
その事実を噛み締めるだけで、笑いが膿の泡のように胸の奥で沸騰する。
列車はぐるぐると回る。停車駅ごとに歪む景色。
影はのたうち、光は鋭く差し込み、音は歪んで耳を刺す。
夢の空気の粘度までが私をくすぐる。
私は笑う。笑いながら、次の瞬間を待つ。
次の活け造り、次の抉りだし、次のひき肉。
逃げた者も、次は必ず。
胸の奥の蕩ける膿みが全身を支配する。
指先が痺れ、手のひらに血の感触を想像し、鼻腔を嗅ぐだけで陶酔する。
夢と現実の境界はもはやない。すべてが私の掌の上で蠢き、跳ね、香り、呻く。
私は永遠に、笑いながら待つ。
逃げられた者の恐怖を思い浮かべ、胸が高鳴る。
あの者が次に座る瞬間、私は再び刃を握るだろう。
その恐怖と痛み、血の感触、絶望の匂いすべてを、胸の奥の蕩けと共に楽しむ。
夢の中の私は、世界の主であり、永遠に笑い続ける。
永遠に、笑いながら。




