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WABE ~すべてを失った少年が終末世界に抗い続ける物語~  作者: terakoya-8
訓練生編

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7/12

Sixth 解答

 食堂に入る。

 2人はタッチパネルに目をやる。

 

 卵かけご飯

 フレンチトースト

 目玉焼き

 3種類。

 全て卵料理だ。

 

 違和感を覚える。

 しかし

 メニューはこれだけ。

  

 __甘いものが食べたい。

 そんな気分だった。 


 フレンチトーストを注文する。

 会計を済ませる。


 トレーを受け取る。

 トレーの上にはコップも乗っている。


 動線に沿って、進む。

 飲み物を選ぶ。


 入江渓人はココア。

 風間俊英はコーヒー。



 マシンにコップをセットする。

 ココアの甘い香り。

 コーヒーの香ばしい香り。

 

 

 コップは飲み物で満たされていた。



 コップを取り、トレーに乗せる。

 窓側の席に座る。



 渓人は、フレンチトーストを口へと運ぶ。

 __甘い

 しかし、

 このひと言で終わらせない。


 外はカリカリ。

 中は柔らかい。

 バターが香る。


 ただ、

 __違和感を感じる。


 もちもちしている。

 小麦粉からは出せない食感


 まろやかさがある。

 牛乳からはしないまろやかさ。


 

 甘さを感じる。 

 砂糖の甘さ

 そして

 もう一つ、何かの甘さ。

 自然で、優しい甘さ。


 渓人と風間は食べ進める。


 最後の一口。

 2人は、同時に頬張る。

 ゆっくりと噛む。

 少しづつ、なくなっていく。 


 終わってほしくない。

 そんな感情が渓人の胸の奥から込み上げてくる。

 


 渓人はココアを手に取る。

 甘さ。

 ココアの香り。



 少しづつ、飲み進めていく。

 飲むたびに、長く息を吐く。

 時間の流れが、遅くなる。 

 肩の力が抜けていく。


 

 窓から、外を眺める。

 朝日が、未来都を照らす。

 そんな光景に、背中を押される。



 2人は、食器を返す。

 エレベーターへと向かう。 



「君の解答、楽しみだ」

 風間はそう言って肩を軽く叩く。


「やってみせます」

 返事をする。

 どこか自信を感じる返事。


 二人はエレベーターに乗り込む。

 目的地は地下三階。


 ボタンを押す。

 扉が閉まる。

 床が落ちていく。



 気づけば、地下三階であった。

 扉が開く。

 二人はエレベーターを降りる。



 無機質な廊下。

 風間の部屋へと足を進める。

  


 扉の前で立ち止まる。

 風間は手をかざす。



 扉を開け、中に入った。




 風間は、部屋に入るなり、端末を操作する。

 ディスプレイにスライサーの設定画面が出る。


 渓人は端末を起動する。


 __装備展開

 端末を起点に防具が形成される。

 服が防具へと置き換わる。


 背中にはシャークDMR

 手にはチェイサー

 

 不思議なことに重さは軽い。


 「準備はいいか?」

 風間の声。


 渓人は無言で頷く。

 訓練室に入り、位置につく。

 呼吸を整える。



「危険になったら、こちらで止める」



 一拍。



「思う存分やれ」

 背中を押される言葉。



「始めてください」



 電源が入る。

 スライサーの目が赤く光る。

 

 次の瞬間、

 跳躍する。

  

 天井付近まで一気に到達し、急降下する。

 こちらに向かって落ちてくる。


 早い。

 だが、

 見える。 

 落下地点を予測する。


 横へ滑る。

 訓練室が揺れる。

 着地地点に傷跡。


 避けれた。

 身体が軽い。

 反応が早い。

 思った通りの動きができる。


 __自分の身体じゃないみたい。

 

 踏み込む。

 跳躍する。

 間合いを詰める。

 チェイサーを振り上げる。


 だが、

 赤い光がこちらを照らす。

 チェイサーもブレードを構える。


 __ガシン!

 金属音がこだまする。


 だが、

 チェイサーは折れない。 

 弾かれない。

 力を抜く。 

 ブレードを傾ける。 

  

 力が、横へと流れる。

 着地。


 間合いが戻る。 


 (いけるぞ)

 __なぜか、その確信に理由がなかった。

 


 スライサーが再び動き出す。

 

 今度は、

 壁を蹴る。

 加速する。

 一瞬で距離を詰めてくる。


 回避は...間に合わない。


 __カキン!


 受ける。

 ブレードを傾ける。

 強い衝撃。

 

 衝撃を分散する。


 __シャー。

 スライサーのブレードが滑る。

 チェイサーの傾きに沿って。


 スライサーの軌道がずれる。

 

 次の瞬間


 __ガシャン!

 鈍い衝撃音。

 訓練室を揺さぶる。

 機体が地面に突き刺さる。



 隙ができる。


 だが、すぐには仕掛けない。

 狙うは


 __腕。

 チェイサーを振り上げる。

 右腕を斬る。


 刃の向きを変える。

 振り上げる。


 二連撃。


 スライサーから反撃の手段を奪う。

 これで、終わりだ。

 

 全力で踏み込む。

 赤い光へ、近づいていく。


 振り上げる。

 斬りかかる。  


 その瞬間、

 光が消える。

 



 渓人は訓練室を出る。



「お見事!」

 風間の声。



 渓人はゆっくりと息を吐く。

 指先に”冷気”。

 反射する光。


 一瞬の出来事。


 

「約5分か」

 風間は頷きながら呟く。



「いい戦い方だ」 

 立ち上がり、一歩近づく。



「情報を拾い、考え、実行する」

 その言葉が誰かと重なる。

 誰かはまた思い出せない。



「それができる人間は、そう多くない」

 渓人は軽く頷く。



「自分で考えたのか?」



「データベースを参考にしました」



「......なるほどな」

 風間は納得する。



 「いい心がけだ」

 短く呟く。


 

 そして、

「もう一段階、上に行くか」



 風間が端末を操作する。

 画面が切り替わる。


 __アドオン。

 武器の”拡張機能”。


 「一つだけ選べる」


 チェイサー。

 使用可能なものが表示される。



 ブースター。

 ブレードの”強化”。


 テーザー。

 ブレードが”帯電”。


 どちらも制限時間付き。



 テーザーを選ぶ。

 迷わない。



 シャークDMR。



 AP。

 ”貫通力”の強化。



 リコン

 ”情報”の取得。


 指が止まる。

(どっちだ...)



 さっきの戦い。

 見えるという安心感。

 

 決める。

 選ばれたのは、リコン。

 __“見ること”に、安心感を覚えた。


 渓人なりの”解答”。



「いい選択だ」

 風間は小さく笑う。



「試してみるか」



 その時

 ドアが開く。

 西野愛梨が入ってくる。

 その後ろ。

 もう一人、知らない人。


 

 圧を感じる。


「......またかよ」

 低い声。

  


 そして、

 突き刺さる視線。



「お前、名前は?」



 鋭い眼光。

 威圧的な口調。 

 低い声。


 圧を感じる。

 だが、

 渓人は引き下がらない。



「入江渓人です」



 一拍。


「よろしくお願いします」



 相手は、口元だけで笑う。



藤原大地(ふじわらだいち)だ」

 


 そう言って前に出る。

 一歩近づく。



「アドオンの試用だろ?」



重圧を感じる。



「俺が相手してやる」

空気が変わる。



「大地君」

 風間の声。



 藤原は肩をすくめる。


「善処しますよ」



 信用できない。


 風間はため息をつき、背を向ける。



「来い」

 短く言う。


 訓練室へ。

 歩き出す。

 その背中を追いながら__


 渓人は感じていた。

 さっきの戦いとは、違う。

 本能がそう言っている。


 これは――


 本物だ。

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