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WABE ~すべてを失った少年が終末世界に抗い続ける物語~  作者: terakoya-8
WABE編

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18/18

Seventeenth 襲来

カプセルが放物線を描き、落ちていく。

 外には、侵攻で荒廃した東京の街並み。

 

 少し前まで人が暮らしを営んでいた場所は、

 今や瓦礫の山が積み上がった荒地と化している。

 生きた土地ではなくなっていた。


 川に架かった橋を渡る。

 左手に赤鉄骨、右手に白鉄骨の塔が見える。

 赤鉄骨の塔は折れ、曲がりくねって建っている。

 白鉄骨の塔は柱が壊れ、微かに振れる。


 「変わっちまった」

 川崎が口をこぼす。


 「ですね」

 そう言って入江は首をゆっくりと縦に振る。


 橋の向こうには、見覚えのある赤い光。


 「さあ、初仕事だ」

 そう言って、渓人がシャークDMRを構える。

 川崎も狙撃銃ウィザードを持ち上げ、渓人に視線を送る。


 「どっち撃つ?」

 

 「じゃあ右を」

 渓人はすかさず答える。


 __ガッ。

 アントニーと高見澤が地面を踏みきる。

 ロボットとの距離が急激に縮む。

 左右のブレードを構え、防御の構えを作る。

 

 __バシュン!

 二発の弾丸がロボットアームを貫き、火花を散らす。

 左右のアームから、赤い光が蛍のように舞う。

 力が抜けたように、構えが崩れる。


 __パン!

 乾いたと共に、ロボットの頭部正面のガラスに亀裂ができる。

 ロボットが左右にせわしなく首を振る。


 __ガン!

 鈍い金属音とともに、地面が揺れる。

 ロボットが割れ、左右の統制が崩れる。

 そのまま、地面に倒れこんだ。

 


 荒廃したビルの上に、二人の人影。

 光を放つ赤い糸で縫られた、黒い外套。

  

「手際、いいですね......」

 コークスが目を凝らして橋を見つめる。


「武器も、なんだかね」

 ウィングがそう言って、ブレードを指差す。


「まともな結晶エネルギー回路が走ってる」


「後発の割には、技術は進んでるよ」


「でも、勝てないことはない」

 コークスが肩を回す。


「隊服が新しいし、新入りだ」

 

「ちょっと、遊んでやろうぜ」


 2人は外套の影から武器を取り出す。

 赤く、禍々しい色の回路が走っている。

 ウィングは電極のような棒を持つ二丁拳銃。

 円形のユニットから黒い棒が二本伸びる。


 コークスは左右対称の黒いブレード。

 円形のユニットから伸びている。

 根本付近でX字に交差し、くびれて末広がりに広がる。


 円形のユニット中央部。

 コアのようなものが赤く発光し始める。


「始めよう」

 

 二人は荒廃したビルの外壁を蹴り、橋のほうへと向かった。

 外壁が削れ、パラパラと音を立てる。

 


「あれはなんダ?」

 アントニーが眉間にしわを寄せ、目を凝らす。

 黒い何かが近づいてくる。

 


「待て、武器を構えてる」


「それも、プロジェクトWABEのものではない」

 川崎がそう言って、照準を合わせる。

 

 照準器を覗いた瞬間、赤い光が目を刺す。

「目標が見えねえ」

 

 

 電極のような棒の間に、赤い球が見える。

 それだけだった。


 「渓人、避けて!」

 高見澤がそう言って、前に出る。

 大きなブレードを地面に突き刺し、前に構える。


 

__ドゴォォォン!

 粉塵が舞い、視界が濁る。


 渓人はチェイサーを構え、粉塵の中を突き進む。

 赤い光の発生源に足を踏み出す。


 粉塵が晴れ、二人の人影が姿を現す。

 武器についた円形のユニットが赤く発光している。


 一緒にいた3人も粉塵を抜ける。

 高見澤は、腕で口元を抑えている。


 __ゴホンゴホン。

 少し遅れて、口元を抑えていた腕をどかす。

 両手でしっかりとブレードを握る。

 

「訓練生上がりにしてはいい出来してるな」

 コークスはそう言って、ブレードを構える。


「さて、やりますか」

 ウィングは武器を渓人たちに向け、引き金に触れた。

 両手に持った武器が赤く光る。


「コークス、”WABEの卵”は任せた」


「あいよ」

 そう返事をし、渓人を見つめた。

 

 戦闘開始だ。


 川崎は小型ブレード、サーベルに持ち替える。


 「チェーン」

 持ち手から六角形の連続した構造体が生成される。

 鎖のように繋がり、手首に固定される。


 彼はサーベルを投げ、ビルの外壁へと突き刺した。

 

 「リール、スピン!」

 構造体が川崎の身体を引っ張り、ビルへ飛ばす。

 そのまま、屋上に飛び乗った。

 


 渓人は左足を前に出す。

 間合いを詰め、コークスに近づく。


 ブレードを振り上げ、斬りかかる構え。


 「遅い」

 その言葉とともに、ブレードを突き刺した

 地面が禍々しく光り、割れる。

 咄嗟に飛び上がり、地面を確認する。

 

 赤い結晶の棘が生えてきた。


 「さすが、反応速度はいいな」


 こいつらが、侵攻の首謀者なのか?

 渓人はブレードを強く握り、コークスに向けた。



 少し離れた橋の上。


 __ドン!

 赤い光とともに、地面が砕けた。

 

 高見澤のブレードが光り、推進力を得る。

 そのまま、ウィングに斬りかかる。


 ウィングが片足を後ろに引き、もう片足を引き付ける。

 ブレードが腹部前方を横切り、外套を揺らした。

 

「甘いね」


 ウィングが右腕を後ろに引き、電極を前に向ける。

 

(......来る)


 だが、


 __バシュン!

 そんな音とともに、風が頬を撫でる。

 ウィングの武器が弾丸に触れる。

 


(......なっ)

 一定だったウィングの表情が崩れる。

 風上には誰もいない。


__プッ。

 空気の抜けたような銃声とともに、外套が揺れた。

 音をたどっても姿はない。

 

(思ったよりも厄介だ)

 

(こんな奴らが、後発組の軍隊なのか)


 ウィングは大きく息を吐く。

 円形のユニットを手で勢いよく回した。


 赤い光が禍々しさを増し、辺りの空気が一変する。

 押しつぶされそうなほど重苦しい空気。


 全員が武器を相手に向け、構えなおす。

 戦いはまだ、終わらない。

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