表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WABE ~すべてを失った少年が終末世界に抗い続ける物語~  作者: terakoya-8
特別編入試験

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/12

Eleventh 攪乱 

フィールドの中。

 足音だけが響く。


 向かいには、アントニー・トルー。


 二丁拳銃。

 防具は軽量タイプ。


 上がった口角。


 落ち着いた構え。


 指を軸に、

 くるりと回る拳銃。


 無駄のない動き。

 __音が立たない。



 何を考えているか、分からない。


「......始め」

 合図。


 一歩、踏み出す。


 踏み込む。

 構える。

 斬りかかる。



 だが、

 そこには誰もいない。



 __プッ。

 空気が抜けるような音。

 わずかに聞こえる。



 __カーン。

 走る衝撃。


 弾ける弾丸。


 飛び散る破片。



 わずかに防具が削られる。

 威力は低い。


 だが、

 発砲音が静か。



(......どこだ)



 __プッ。

 背後。

 振り向く。


 チェイサーを構える。



 __キィィン。

 ブレードに当たる。



(......恐らく、アドオン)



 踏み込む。

 前へ。


 __パンッ、パンッ!

 連続する銃声。


 だが、

 渓人は止まらない。


 横へ滑る。

 銃弾を追い越す。


 だが、

 __バシュン。

 発砲音。


 __キュィィィン!

 風切り音。



 さっきとは、”違う”。



 迫る弾丸。


 守りの姿勢。

 

 傾けるブレード。


 __ガキィィン!

 強い衝撃。

 弾が、違う。


 弾を流す。

 

 だが、

 もう一発。


 __パン! パン!

 乾いた銃声。


 横に滑る。

 スピードを上げる。



 変わる位置。

 変わる弾丸。


 素早く。

 何度も。


 __翻弄されている。

 このままではいけない。



 武器を持ち替える。

 チェイサーからシャークDMRへ。


 狙うは。


 ”天井”。


 __バシュン!

 発砲する。

 

 突き刺さる弾丸。

 唖然とする観客席。


 その時だった。

 弾丸が光り出す。


 繰り返し。

 一定間隔で。



 __位置が見える。


 後ろ。

 振り返る。

 

 トリガーを引く。

 

 __バシュン。


 一つの音。

 同時。


 両者、身体をひねる。

 弾丸をかわす。


 今度は、右。

 

 踏み込む。


 構える。


 アントニーの懐へ。


 銃口を突き付られる。

 ゼロ距離。


 

 __バシュン。

 響き渡る銃声。

 


 __カァーン !

 防具に当たる銃弾。

 

 飛び散る火花。


 削れる耐久値。 



 チェイサーに持ち替える。


 踏み込む。

 

 斬りかかる。



 __シャー。

 防具をなでる音。


 手ごたえが浅い。

 

 (......来る)



 __バシュン。

 発砲音。

 二つの光。

 同時に来る。


 __キュィィィン!

 風切り音。

 

 構えるブレード。

 わずかに傾ける。


 腕を引く。

 衝撃をいなす。


 だが、


 __カン!

 防具に当たる弾丸。


 隠された2発目。

 遅れて届いた。

 

 (......!?)

 

 発射は同時。

 着弾にズレ。



 __バシュン。

 今度も同時。

 

 横へと滑る。 

 受けない。



 __チューン。

 地面に当たる。

 弾丸をかわす。


 懐に入る。

 斬りかかる。


 空を切るブレード。

 かわされる。


 (......右)

 

 __プッ。

 静かな銃声。


 だが、

 渓人は聞いていない。


 ”見て”いる。


 振り向く。

 

 __カン!

 弾丸を弾く。


 

 (......後ろ)


 __パン! 

 乾いた銃声。


 振り向く。



 __カーン。

 ブレードで受ける。


 腕を引く。

 衝撃をいなす。



 __バシュン。

 銃声。


 __キュィィィン!

 風切り音。

 

 横に滑る。

 銃弾をかわす。


 そのまま__前へ。

 

 足を出す。

 引き寄せる。


 斬りかかる。


 __キーッ。

 浅い手ごたえ。



 決定打が__遠い。



 届かないブレード。

 離れていく距離。


 シャークDMRは、

 火力不足。


 長引く戦い。

 

 

 __タタタタタ。

 連射。


 横に滑る。

 弾丸を交わす。

 

 だが、

 止まない弾幕。

 渓人を追いかける。


 そして、


 __カン!

 防具に。

 弾丸が”追いつく”


 削れる耐久値。

 飛び散る破片。


 視界の端。


 ”60%”


 まだ余裕はある。


 決定打が遠い。

 違和感を感じる。


 (......相手も同じ)


 一撃は軽い。


 だが、

 確実に、決めてくる。


 ”計算された動き”。

 


 __プッ。

 背後。

 振り向く。


 __パン!

 正面。

 ブレードで受ける。


 __バシュン。

 右側。

 かわす。

 

 撃つ位置。

 弾の種類。

 撃ち方。


 全てが異なる。



 だが――

(......意図を感じる)

 

 

 足が、止まる。

 ほんの一瞬。


 その瞬間。

 __カン!


 防具に当たる弾丸。

 (......止まると、こう撃たれる)


 視線が、動く。


 アントニー。

 口角は、変わらない。


 ただ__

 見ている。

 

 (こいつ......)

 撃っているんじゃない。

 ”誘導している”。

 

 逃げる方向。

 避ける動き。

 

 それらに対応する。

 ”射撃パターン”。


 __プッ。

 静かな銃声。


 だが、今は__

 わかる。


 踏み込む。

 止まらない。


 __キュィィィン!

 風切り音。


 当たらない。

 ”計算”を打ち破る

 


 アントニーの口角、

 わずかに止まる。


(......ズレた)


 今までは、

 すべてが”誘導通り”。


 だが、今は違う。

 乗って来ない。

 

 

 __パン!

 射撃。

 弾丸が、外れる。


 

 渓人は進む。

 __前へ。


 __バシュン!

 迫りくる弾丸。


 だが――

 読める。


 いや、

 ”わかる”。

 

 身体を捻る。


 かわす。

 ”最小”の動作で。


 止まらない。

 もっと前へ。


 __プッ。

 静かな銃声。

 背後。


 だが、振り向かない。


(そこじゃない)


 踏み込む。


 視界の端。

 __捉えた。


 アントニー。


 距離、ゼロ。

 銃口が上がる。

 引き金。


 __バシュン!

 至近距離。


 傾けるブレード。

 弾く弾丸。

 飛び散る火花。

 

 そのまま、踏み込む。

 懐へ。



 チェイサーを振る。


 だが――

 浅い手応え。


 アントニーの身体が、沈む。

 回避。

 

(......まだだ)

 


 左手。

 シャークDMR。


 押し付ける。

 ゼロ距離。

 

 引き金を引く。


 __バシュン!

 直撃。

 防具が、弾ける。


 耐久値が削れる。


 だが――

 まだ倒れない。


 アントニーが、笑う。


 至近距離。

 二丁拳銃。

 同時に、上がる。


(来る)


 踏み込む。

 撃たれる前に。

 さらに内側へ。


 至近距離。

 ぶつかる視線。



 アントニーの目が、動く。


 その一瞬。


「テーザー」

 電流。


 __バチッ!

 硬直。

 ほんの一瞬。


(いける)


 踏み込む。

 振り抜く。


 __ザシン!

 深い手ごたえ。


 防具が、裂ける。

 耐久値が、一気に削れる。


 止まる。


 __ビーッ!ビーッ!

 警告音。


「......防具、破壊」

 審判の声。


「勝者――入江渓人」


 静寂。


 そして。

 ざわめき。


 アントニーが、ゆっくりと息を吐く。

 拳銃を下ろす。


「……やるな」

 小さく、笑う。

 口角は、もう上がっていない。


 渓人は、何も言わない。

 ただ、呼吸を整える。


 視界の端。

 耐久値。


 ”23%”


 ギリギリだった。


(……勝った)


 実感が、遅れてくる。


 だが。

 止まらない。


 視線を上げる。


 (次の相手はどちらなのか)

 第二試合を見届ける。


 一方、その頃。

 地下四階。


 大量の装置。

 多彩な実験器具。


 「遺品No.033」


 「解析結果:True」


 画面にに表示される。


 「......やっぱりか」

 風間俊英。

 画面を眺める。


 数値が、並ぶ。


 エネルギー反応。


 波形。

 不規則な脈動。


 だが、

 一瞬。


 一定の周期。

 揺らぎのないピーク。


(……共鳴している)


 風間の指が止まる。

 画面を切り替える。


 別のウィンドウ。

 試験会場の映像。


 戦闘記録。

 異質な”訓練生”。


 構える。

 踏み込む。

 斬りかかる。

 

 その瞬間。

 跳ね上がる数値。


 遺品No.033。


 ケースの中。

 静かに置かれている、”短剣”。


 点滅する。

 同じ周期で。


「......”WABE”が帰ってきた」


 短く、息を吐く。


「だが__まだ早い」


 端末を操作する。

 警告ログを、非表示にする。

 外部出力を、遮断。



 すべてを、”隠す”。



 最後に、もう一度だけ。

 映像を見る。


 戦闘記録。

 その姿を、じっと見つめる。


「......似ている、か」


 誰に、とは言わない。


 だが、

 その言葉には、確かな重みがあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブクマ・ポイント評価お願いしまします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ