62 完全版リリースそして参戦。
──……シュルルル。ウォン、ウォン。
シュタッ。
氷結のダンジョンをクリアすると次元ポータルから一人一人、元いたフィールドへとパーティメンバー全員が帰還した。
「「やったー!!!」」
「やりましたね!! ミサキさん!!!」
「うん!! すっごい楽しかった!!!!」
わきわき身振り手振りでその興奮っぷりを表す二人。
「はい!! とっても!!!」
ステラのキラキラした笑顔が太陽のように輝いた。久しぶりにVRMMOの世界に帰ってきたからか、その笑顔はいつにもまして純粋で屈託のない笑顔だった。
「さて、帰るかの。皆。」
「忘れ物は無いですね?皆さん」
「あっ、はい!!!」
「うぃ〜平気だよ〜!!! 転移カード使っちゃって〜」
「了解なのじゃ。では」
──……シャキーン!!!
フィオオオン。
フィールド、拠点ベースに戻るために使うアイテム『転移カード』が使用され、皆の待つフィールドへと転移が開始された。
みるみるうちに身体が粒子化し、転移が完了する。
──シュンッ。
「ふぃ〜ただいま〜!!! って、ちぇ。まいら達のが早くクリアしてたのか〜。お疲れー!!」
「ただいまです!! まいらさん!!!」
「おーよしよし。ステラちゃんどうだった? 危険な事とかなかった?」
「はい!! まったく! ミサキさんが守ってくれましたから!!」
「なっ、なぬぬっ!!!」
──……ウーグルルル。
野に解き放たれた猛獣のような目付きでまいらはミサキを睨みつける。
「にひひーん。たーのしかったよ? ま・い・ら」挑発するかのように眩しいウィンクを飛ばすミサキ。
「むききききき。」
「はーい。まいらさん妬かない妬かなーい。ほい、ステラちゃんたっぷり借りちゃったからこれあげるわ。それで機嫌直してよ。」
舌をチロっと出しながら、あざとい表情でミサキはアイテムボックスから取り出したそのレアアイテムをまいらへと手渡した。
「……!? ミサキ。これって……。」
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ベータテストが終わり、それから数日の時が流れ…。
「遂に……。ついについについに!!」
「きたきたきたー! 来ましたよ遂に!!Dgo製品版リリース!!! わぁ……。皆とやるのが楽しみだなぁ……ふふふっ。」
──……パタン。
今の時代、プレイするだけならばダウンロード版でいいのに思い出に残そうと、Dgoの特典がぎっしりと詰まった初回生産パッケージ版の未インストールソフトを抱きしめながら、自室のベットに倒れ込むステラ。
彼女は新しく始まる新しい世界でのいつもと変わらない大好きな仲間との事を色々思い返しながら、一人思い出に浸っていた。
「はぁ……。なーんか。色々短いようで長かったなぁ……。ENDLESS×ONLINE。」
そう、あのゲームがあったから、昔に比べ彼女はちょっとでも前向きになれたのである。
うるうるとした瞳を擦りながら、今新しく始まる冒険へと気持ちを切り替えるステラ。
「っと、ここでの生活も楽しくやらないとね!! さ! 行くよ!! ドラゴン・ゲート・オンライン!! アクセス、フルダイブっ!!!」
──フィオオオン!!!
新しく始まったステラ冒険はここから、今日から、その全ての始まりだったのである──……。




