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029 目覚めは暗く明るく


「あちゃー。どしよー〜これ、切れないよー……」


「んーっ、んーっ。あちゃ、やっぱりはずれないやー」


──ジャラッ!!

──ジャラッ!!


ぶっちょうずらのミサキはそう言いながらその鎖を身を捩り、必死に外そうとする。


まいらによる拘束のスキルから発動された、鎖に繋がれている。

彼女はジタバタとその場であばれているが、鎖の擦れる音がするだけで、まいらのスキルの練度が相当強いのかいくら動いてもそれから解放される気配は無い。



「や、やりましたね!! 流石まいらさんです」



「油断しないで!! ステラ」



「はい、今のうちに──」


「ええ、そうね。早くしないと鎖の拘束時間が切れちゃう、ステラ!! 『女神』に!!」


「わ、分かりました!! ──クラスチェンジ……」


──フィン。


そう言ってステラはこの瞬間だけ、再びバトルモード『女神』へとその姿を変える。


光の翼、金色のドレスにその身を変化させる。


1度発動したらリキャストがあまりにも長い、彼女の最大火力の攻撃である『女神の波動』を発動しようと決心する、MPの消費が激しく、リキャストの時間が長いこの必殺のこのスキルを発動するタイミングは正しく今だった──この一撃でミサキを仕留めなければ、この後の戦闘続行は厳しいだろう。


だから彼女は賭ける、この一撃に。


まいらも考えは同じ考えだ。


前回ステラと一緒にクエストに行った際に使っていた、広範囲特殊攻撃「龍の爆煙『雷撃(ライジング・バーン)』」それをステラに同調し、阿吽の呼吸でまいらはそれを発動する。


───ギュイン!!!

二人の間に魔法陣が展開される。


発動準備が整い2人がスキルの名を唱える。



▫『女神の波動──!!』


▫「龍の爆煙──雷撃(ライジング・バーン)!!」


2人の最大火力スキルを発動するその直前──



「だめだよー、そんな強いスキル動けない相手に使おうとしちゃー!」


ミサキが口を開く、彼女が喋り終わるそのタイミングで突然鎖が破壊される。



──……バギン。


1度はちゃんと彼女を拘束していたではずであろうまいらの鎖。それがボロボロと崩れ落ち消失してしまった。


「なっ、──」


「えぇ!?」


「ちゃーんと、『拘束耐性』付与してるに決まってるじゃーん! まいらちゃんざんねーん! きゃはは」


お腹を抱え、空で愉快にのたうち回るミサキ。


その不気味な笑い声が2人を嘲笑し、挑発する。



「くっ、……」

彼女を完全に追い詰めたと思ったまいらは、ここで万策尽きてしまう、自分と相手の実力の差を痛感する。


「どうしよう、まいらさん……」


底知れぬミサキの実力にブルブルと震え、恐怖するステラ。



「怯えてる顔もかわいいねー。ス、テ、ラちゃーん」


──スッ、



▫『──神速』


再び、特殊移動スキル『神速』をミサキは発動する、その姿は2人の視界から消失し、完全に見えなくなってしまう。不意を着くつもりだろう。


「しまった、ミサキの奴。まだ神速を放つMPがあるなんて!! ──ちぃ……、底なしめ!」


その一瞬の隙をついたのか、ミサキは再び目に捉えられぬ位の超高速移動スキルを発動し、ステラへ攻撃を仕掛ける。


「あはは、──はい、チェック、メイト。」


▫『幻影闇影(ファントム・シャドウ)


ミサキが特殊スキルを発動する、彼女の影が本体から分離しその影がもう1人のミサキを構築する。


そう、ステラは本体と影に挟まれる形で追い詰められてしまったのである。


「──ステラー!!!」


まいらは大声を叫び、高速でステラの元へとカバーへ向かう。


しかし──、その甘い期待は彼女を絶望させる。



ミサキの俊敏な攻撃を前にまいらの助け舟が間に合うはずもなく、ミサキ本体から分離した分身とその本体は連携した動きで高火力スキルを一瞬で発動し、ステラへ攻撃を開始する。


▫『──神閃(ディーオ・スパークル)!!』


▫「──神閃(ディオ・スパークル)!!」



「……きゃあぁぁああ!!!!」



ステラは完全にミサキに追い詰められる。


逃げ場のない詰み、しかし。



──その時だった。



ピーーー、ピーーー、ピーーー、ピーーッ。


聞き慣れた、電子音。

カチカチと鳴り響く時計の音が聞こえる。


重い──、頭にそんな負荷を感じる。これはきっとVRゴーグルだろう。



「ハァ、ハァ、……ハァ──え、」


静寂を切り裂くステラの荒い息、伝う汗。

悪い夢を見たかのように、すてらの全身は汗だくであった。喉もかわいているそんな感覚に襲われる。


すてらは瞼をゆっくりと動かし目を開く、そこに映る視界は暗黒。そう、彼女が今見ている光景は一面に広がる闇、その黒い視界に包まれた彼女はこう1人、呟く。


「あれ、私死んだ?」



と、──。




そ、そろそろモンスターとか出るはずです!!



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