神に近い男、剣術で無双する
「はははは、敵の動きが遅すぎて止まって見える。」
大会当日、海堂は大暴れし、敵を次々となぎ倒していった。
「面、胴、面、小手、面、面、小手、胴……」
「大人げない奴だ」
数千年間、海堂は無為に過ごした訳ではない。人の争いを見て、女子更衣室に入り、スポーツを観戦し、シャワー室に入り、世界中を漂い、さ迷い続け、再びクラスメートと合流し、……
彼は剣道の達人の体に憑依し、その身で体感したのだ。だから、彼に勝てる剣士はこの世界では転生者を除いて、存在しない。
「へっぴり腰になってるぞ、はい、遅すぎですよ。」
上級生も大したことがないと思っていたところ、ライバルが俺に突撃してきた。
「大振りじゃあ、俺には当たらんよ。」
「がああああ」
「はい、面」
大したことがない。剣術の型をまるで押さえていなかった。要は、雑魚である。
「俺は全国へ行く。貴様は後から来い、100年後くらいにな。」
雑魚を一掃していったら、学校で優勝していた。
ま、結果は目に見えていたけどな。
「俺は小学校で最強になった。」
「おめでとう。次は地区大会だね。」
俺は地区大会に出場する。そこには転生者がいるかもしれない。俺の好敵手となる存在だ。必ず、叩き潰してやる。
俺は剣術の訓練をひたすらした。戦いは来月に始まる。そこで勝てば、俺は全国に行ける。
「くくくくく、覚悟しておけ。全国の猛者を相手に優勝する俺と戦うことになるのだ。末代まで自慢するといい。」
「悪い、海堂くんの言っていることを聞いてなかった。」
誰も俺には勝てないのだ。俺は最強だ。
学校の昼休み、裏庭で素振りをしていた俺は自分に酔っていたと言える。
がさがさ
「誰だ。」
後ろから気配がしたので、振り返るととナナリーがいた。
彼女が近づいてきた。ドキドキした。
もしかして、キスとかしてくれるのかな?
俺は期待していた。目を閉じて、キスしてくれるのを待った。しかし、その期待は裏切られた。
彼女は俺のぞうさんに足蹴りしてきたのだ。
彼女の攻撃は俺に多大なダメージを与えた。
「おおおお」
痛いです。俺の嫁が怒っている。なんでかな?
「へんたい」
そう言い放ち、彼女はいなくなった。
痛かったが、彼女は俺に話しかけてくれた。嬉しいぜ。
それに彼女は言葉が話せるようだ。これはつまり、彼女が高確率で大学に行けるということだ。
「へへへへへ、さすがは俺の嫁」
ますます全国優勝しなくてはならない。
ボッチがなんだというのだ。俺は今日も素振りする。
それにしても、言葉が話せるのは知らなかった。
「彼女についてもっとリサーチしなくてはならないな。」
俺は毎日が楽しくなってきていた。リサーチを再開だ。
「駄目だ。誰かこいつを何とかしてくれ。」
何か聞こえるが、気のせいだ。