波乱・・・
今にも死にそうな顔をしている村瀬・・・
それを
「大丈夫だから・・・」
励ますひろみ
やがて
「むらせさ~ん中へ・・・」
一人立ち上がる村瀬・・・
ひろみをチラッと見た。
ひろみはガッツポーズを見せ、
小さな声で「ファイト」と村瀬を送り出した。
病院の待合室
ボーっと待つ
ひろみ・・・
なんで、恋敵にこんなことをしているんだろう・・・と何度もため息をついた。
しばらくして
村瀬が出てきた。
顔は、病室に入る前とは打って変わって・・明るくなっていた。
「どうしたの・・・」
ひろみが聞くと
「ここじゃあ、まずいから」
二人で外の喫茶店に入った。
「えっ・・・できてない?!?」
ひろみは驚いた。
「そう、先生が言うには、ただ体が妊娠したと勘違いと言うか、受精したがそのまま・・・流れたらしいの」
「でもエコーとかは?」
「だからそのエコーにも何も移っていないの・・・」
村瀬がうれしそうに答えた。
「ということは、形は何であれ・・・よかったね・・」
ひろみは言ったが、かなり戸惑っていた・・・・
そして
「で、どうするの・・・」
ひろみは聞いていしまった。
「どうする・・って?」
と思議そうに聞き返す村瀬
「啓太のことよ・・・」
「先輩の言うとおりでした・・・・」
少し暗くなる村瀬
そして
「明日・・・私、決別するから・・・先輩も助けて・・・」
村瀬言った瞬間であった。
「くっ・・・」
急に村瀬がおなかを抑えて倒れこんだ・・・
「むらせさん!!」
あわてて支えるひろみ・・・・
村瀬は顔からはどっと汗がにじみ・・・
声にならない、叫びをあげていた・・・・
「どうしたの?・・・」
やがて
顔色の血の気が引き・・・
みるみる青白くなっていった。
ひろみは、あわてて、救急車を呼んだ。
そして
村瀬は、子宮外妊娠だった・・・
しかも卵管破裂と言う最悪の事態・・・
そして
緊急手術が行われた。
しばらく
ひろみは考えた。・・・
そして
おもむろに大塚に連絡した。・・・・
「ひろみか・・・」と大塚が出た。
「少し話があるの・・・」
「今からでも会わないか・・・」
「今は、むり・・・」
「じゃあ、あしたでも・・・」
大塚はしつこく聞いてきた。
しかし、
ひろみは、本題に入ろうと
「村瀬さんのことな・・・」
言おうとする言葉をさえぎって
「あいつとは、別れた。・・・」
ひろみは、何馬鹿なことを言ってるんだ、と少しため息をついた。
「もう一度やり直せないか・・・」
「もう無理よ・・・」
ひろみは、会って話をするしかないと思った・・・
「夕方に会社の屋上であいましょう・・・」と携帯をきった。
ひろみは、少し戸惑っていた
会うのはいいけど・・・・
勇気がなかった。
そして
思わず中村に電話をかけた・・・・
「はい、なかむらです。」
「田中ですけど・・・」
「どうした田中さん・・・めずらし
い・・・」
「いや、ちょっと・・・・」
「どうした・・・何かあるのか・・」
「今、会ってほしいんですけど・・・・」
「まだ、会社なんだけど・・・」
ひろみは
一目だけでも
会いたいと・・
「少しだけでもお時間いただけますか?」
「少しなら・・・いいよ。」
しばらくして
中村の前にひろみがあらわれた。
落ち着かないそぶりを見せるひろみを見て、
「なにか、あったのか?」
聞く中村
「別に・・・」
つぶやくように答えるひろみ。
「別に・・・というより、どう見ても変だぞ・・・」
「今日・・・仕事終わってから・・・あってもらえますか・・・」
「えっ・・」
驚く中村だったが、
「何時頃に・・・・」
聞き返した。
「仕事・・・終わってから少し用事があるから・・その後で・・・携帯するから・・」
「わかった・・」
ひろみのことが気になった中村は、仕事が終わって、すぐにひろみの部署に行った。
しかし
ひろみは、すでにいなかった。
そして
「たぶん屋上で、・・・大塚と話をしている。」
由美から聞いた中村は慌てて屋上へ向かった。




