喧嘩・・・
仕事が終わり・・・
ひろみは、大塚との待ち合わせ場所に行った。
「ひろみ、待ってたんだ・・・」
満面の笑みを浮かべる大塚
対照的に
沈んだ表情のひろみ・・・
「なぁ・・・前みたいに・・・」
話しかける大塚・・・
ひろみは、ため息をついて・・・
「会うつもりはなかったの・・・村瀬ちゃんの件がなければ・・・」
「村瀬・・・あいつとは、とうに別れたっていったろう・・・」
大塚は、やや怒り気味に声を出した。
「村瀬ちゃん・・・妊娠してたの・・・」
「ああ、聞いたよ・・・どこの誰の子がは、わからないんだろ・・・」
ひろみは、この言葉に完全に切れた・・・
「何言ってるの。あなたの子よ・・・」
と怒鳴った。
「なにか証拠でもあるのか・・・」
大塚は反論した。
「そうやって、まったく反省しない・・・村瀬ちゃんは、・・もう少しで死ぬところだったんだから・・・・」
「えっ・・・・」
「それに、その子のDNA鑑定を依頼したから・・・・あなたの髪の毛1本でも・・・わかるわよ・・」
「何を今更・・・大体・・お前が悪いんだ・・・」
「私のどこが悪いの・・・あなたが浮気する原因はわたしなの?」
「大体お前が、なかなか、先に・・・」
「先に進んだら・・・村瀬ちゃんのように捨てるの・・・」
「ちがう・・」
「大体・・・あなたの浮気のうわさが先にながれるたび・・・我慢してきたんだから・・・」
「ごめん・・」
「4年間もよ・・・」
「ごめん・・・けど、4年も我慢できたなら・・だったら、やり直せないか・・」
「もう、無理よ・・」
ひろみはつき返すように言い返した。
「中村か・・・!!」
「中村さんなんか関係ないわよ、あなたが悪いの・・・いい加減にしてよ」
「頼むから・・もう一度、やり直してくれ・・・」
手を合せてお願いする大塚
ふーっとひろみはため息をついて、
「無理・・」
言葉を出すと振り返って
「じゃぁ~2度と、顔をださないでね・・・」
ひろみはそう言って立ち去ろうとした。
「待て!!」
手を引っ張る大塚・・・
ひろみの手を手繰り寄せると・・・
抱きしめた
「いや・・・なにするの・・」
抵抗するひろみ
大塚は無理やりキスをした・・・
その時
屋上に着いた中村・・・
声がしている方向を見ると・・・
二人がキスをしているところだった。
ひろみにも中村の姿が見えた心の中で
”助けて!!”
と叫んだが・・・
キスをしているところを目撃した中村は、少しうつむきやがてその場から去って行った。
いや!!・・やめて!!」
ひろみは、暴れて大塚を振りほどいた・・・
大塚はにやりと笑い
「ちょうどよかったじゃないか。中村にもみられて・・」
”バチーン”
ひろみは平手を食らわせた・・・
それでも
ひろみをみつめる大塚の目を見て
「最低っ!!!」
ひろみは怒鳴り、目潰しを食らわした・・・・
「ぐあ・・」
目を手で覆う大塚に
「この卑怯者・・・!!二度と私の前に現れるな・!!」
ひろみは大塚のすねを蹴った。
「イテッ!!」
うずくまる大塚。
「今度、こんなことしたら、会社にセクハラで訴えるから、覚悟しときなさい!」
ひろみはその場を逃げた。
階段を下り、踊り場についた中村
胸に何かぽっかりした違和感があった。
それは
次第に
焦りとなり
憎しみとなり
寂しさとなり・・・・
涙がこぼれた・・・
そして
なぜ俺は、こんなに悲しいんだ・・・
と大きくため息をついた。
そこへ
コツコツコツ・・と階段を走ってくる音がした。
やがて
その足音は中村の後ろで止まった。
振り返るとそこには目に涙を浮かべたひろみがうつむいて立っていた。
沈黙が二人を支配した・・・
ひろみは、視線を中村の目にあわせた。
彼の涙は、ひろみにもわかった・・・
しかし
何も言わない中村に・・・
「何で助けてくれなかったの!!」
ひろみは叫んだ・・・
中村は何も言うことができなかった・・・
「バカ!」
そう叫んで立ち去ろうとするひろみ・・・
中村は思わず、ひろみの手をとった・・・
立ち止まるひろみ・・・
そして
「はなして・・」
つぶやく・・・
二人の手は、
力なく・・・
すっと・・・
離れた。
やがて・・・
ひろみは、走り去って行った。・・・
「バカ・・・なかむらさん・・・バカ・・・」
ひろみは心の中でそう叫んだ・・・
中村は、じっと自分の手を見ていた・・・
なぜ、手をつかんだんだ・・・
そして、
手を離したんだ・・・と
そして、
ふと
なぜ・・・ひろみは、あんなことを言ったのか?・・・
そう思っているうちに携帯がなった・・・
えみからだった・・・
「どうした・・・」
携帯をとる中村
「どうしたって、明日、会えるわよね・・・」
「ああ・・・」
「元気ないわね・・・」
「そうか?」
「まぁ、いいわ、いつものところでね!」
「わかった。」
電話が終わった頃・・・
大塚が中村の前にあらわれた。
そして
「中村さん、ひろみは、わたさない・・・」
言い残し大塚は階段を下っていった
家に戻ったひろみは、泣いていた・・・
あんなことがなければ・・・・
中村さんと・・・
中村もボーっとひろみのことを考えていた。・・・
「何で助けてくれなかったの!!」
ひろみの言葉が・・何度もよみがえった。
やがて
中村はひろみの携帯に連絡をした。
ひろみは、携帯を見て驚いて、すぐにでた。
「もしもし。田中です・・・」
「中村です・・・大丈夫か・・」
「ごめんなさい・・」
「なぜ、あやまる・・・・」
「・・・」
「俺のほうこそ・・・ごめんな。」
「なぜ、あやまるの・・」
ひろみは、中村が謝ってくれたことに心の闇が晴れそうになった。
そして
思い切って
「ところで・・・、明日あいてますか。」
と聞いてみた・・・
「えっ・・・ああ・・・ごめんな・・・明日先約があるんだ・・・」
田中の声に、ひろみは先約がえみであることがわかった。
そして
「ひょっとして、えみさん・・・」
と聞いてしまった。
「・・・・」
答えることができない中村・・・
「えみさん・・・なのね・・・」
ともう一度言ってしまった・・・
ものすごい・・・
不安と悲しみがひろみを襲った。
しばらく
無言になる二人・・・・
「そう、・・・わかったわ・・ごめんなさい・・・」
とひろみは携帯をきった・・・。
そして
ひろみは、携帯の電源も切って、一人泣いた・・・
やがて
泣きつかれて眠ってしまった・・・




