失恋・・・
Kプロでは、中村が待っていた。
「変なうわさが流れて、すまん・・・」
一言謝った。
「は?特に何も気にしてないわ?むしろ別れようと思っていたから、ちょうどよかったわよ・・」
強がって言うひろみ
「そうか、じゃぁ~よかった。もしかして傷・・・」
と話しかけた中村がひろみを見た。
そこには
目に涙を浮かべたひろみの姿があった、
そして
「何でそんなことを・・・・」
ひろみは泣き出した。
しばらくて
「すみません。・・・ありがとうございました。・・・気が楽になりました・・・」
「大丈夫ですか・・・」
「大丈夫です。」
「ところで第一工業部の連中の動きが変だ。というよりこちらをまねているような気配がある。」
「どういうことです?」
「こちらの動きとそっくりなんだ。」
「そっくりとは?」
「挨拶運動や改善提案の募集といったことをやっているみたいで・・・・」
「でもそれって、、どこでもやることじゃないの?」
「そう言われれば、そうなんだけど・・・・」
「気にしすぎですよ・・・」
「そうかな・・・?俺も・すこし、考えすぎかな?」
「そうですよ・・・あんまり考えると、頭がはげますよ・・・」
「そんなこというなよ・・・」
「ところで、みんなは?」
「今日は、俺が気になるから。田中さんをだけを呼んだ。」
ひろみは、内心うれしかった。
「じゃぁ、わたしの失恋の記念に付き合ってもらえませんか」
「う~む、じゃぁ・・・」
「わたし・・・少し飲みに行きたいんですけど・・・・」
「海・・・か?」
「海?海じゃなくて、軽く飲みに・・・」
「弱ったなぁ、今日、俺車なんだよ・・・」
「それならドライブでも・・・いいですよ・」
ひろみは、中村の車に乗った。
「どこにいく?」
中村がきく
「海でしょう・・」
「わかった、海な・・・」
しばらくして
「音楽かけてもいいですか?」
「いいよ・・・」
ひろみは中村の了解をきくとスイッチを入れた。
カーステレオからは、ジャズが流れてきた。
しんみりした曲だった。ひろみは、ピッピッ・・とステレオを操作し、曲を次々と変えた・・・
「ごめん、ごめん、ジャズばかりだから・・・・FMにでもしたら?」
「いいですよ・・・」
しばらくして・・・
えみの歌声が流れてきた。
「えみさんの声ですよね。」
「ああ・・・あそこのマスター録音してくれるんだよ。」
「へぇ~ところで、えみさんとは長いんですか?」
「えみとは学生時代からの付き合いだった。でも、結局わかれてしまったから・・いい思い出じゃないんだよ・・・」
「あ、ごめんなさい。」
「いいよ・・・」
二人を乗せた車は、ある駐車場についた。
「さぁ・・ついたぞ・・・」
しばらく二人が歩くと
波音がどこからともなく聞こえてきた・・・
漆黒の闇から白い漣が波音ともに現れ、やがて消える・・・・
「夜の海も素敵ですね・・・・」
風景に見とれるひろみ
「ああ・・・前はよく来たんだけど・・・」
「けど・・・って?」
ひろみは、中村を覗き込んだ。
「ああ・・・何かあったときに・・・」
「一人で・・・」
「いや、二人・三・・・なんでもない。・・・」
中村は過去を振り払うかのように・・・・首をふった。
「ごめんなさい。・・・何か。・・・」
ひろみが言うと
「いいよ・・・別に・・・」
ひろみは、海の方へ歩き出した・・・そして、振り返って・・・
「やさしいんですねぇ・・・中村さん・・・」と言った。
そして
波間に光る何かを見つけ・・・
「なかむらさん、なにか・・・ひかってる・・・きれい・・・」
「えっ・・・」
と中村が見ると
ひろみの足元で、
波間に何かが光っていた・・・
その光は・・・
波とともにあらわれ、
そして、
消える・・・
そんな光景の中にたたずむひろみに・・
中村は、どきっとした・・・
「なかむらさん・・・」
その声にはっとする中村は・・・
しばらくして
「夜光虫だ・・」
「これが・・夜光虫ですか?・・・きれいですね・・・」
「そうだな・・・」
中村は自分の気持ちを落ち着かせようとしていた。
「どうかしたんですか・・・」
「いや、なんでもない・・・」
「おかしいですよ・・・」
「そうか・・・」
中村は、背伸びをして
「そうだ、思いっきり歌おうか。」
「えっ・・・いいですよ・・・」
「いいから・・・」
中村はひろみの腕を引っ張って行った。




