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王子様と夢みる女官  作者: 笹野にこ
九章 変化
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閑話 手紙のやり取り


今回はとても短いです!

お手紙のやりとりをお送りします✉️






『庭に綺麗な椿が咲いていたのでお見せしたかったのですが、今いる実家と王都は遠いので、手紙と一緒にお送りしても枯れてしまうと言われました……。代わりに椿の絵を添えておきますね! いつかソユン様とこの光景を一緒に――……』


 


そこまで書いて、メイメイは手を止めた。

そして、再度書き直す。


『……ソユン様とお会いしたいです。お祝いもしたいのです。いつなら――……』


また書き直す。


『……ソユン様のお家では、今どんな花が咲いているんでしょうか』



唇を軽く噛み、文面を読み返す。

上から下へ、何度か往復をして、ようやく封をした。




◇ ◇ ◇



ソユンが宮廷の一室で起き抜けにぼんやりしていると、自邸の使用人がやって来た。

ここ数日は、宮廷で寝泊まりしているのだ。


その間に届いていたらしい文の数々を手渡される。


 

振り分けられた手紙を確認しながら、ソユンはふと手を止め、仄かに笑みを綻ばせた。

黄色と紅のふかふかした模様が描いてある。


(文面からすると、これは椿かな。可愛い……)


最近うっすら気だるく過ごしていたソユンだったので、思わずその絵をぼうっと眺めてしまった。

――なんというか、癒される。


一度伸びをすると、軽やかに筆を執った。



『返事が遅くなってごめんね、今はまだ水仙が咲いているよ。東部にある別邸だと、そろそろ蝋梅がきれいに花開く時期かな。よかったら今度見に来る?』


書き終えてから少し首を傾げると、墨が乾いた頃に別の筆を手に取った。

さらさら、と滑らかに穂先を滑らせる。




◇ ◇ ◇



メイメイは宿舎の管理人から受け取った手紙を手に、小走りで自室に戻った。

ソユンからの手紙である。


息を整えながら封を切ると、すぐに清楚な水仙の絵が目に飛び込んだ。 

本物を目の前で見ているかのような見事さで、メイメイは思わず指を添わせて堪能した。


そうしてそのまま文面に視線を移すと、不意に目が潤む。

ぼやける視界も気にせず一心にそれを見つめ、それからすぐに机へ向かった。




『ぜひ、ぜひ伺いたいです。いつならお会いできるでしょうか? ……早くソユン様と一緒にお花を見たいです』



すん、と鼻をすすって、手早く封をする。

それからまた急いで手紙を掴み、自室を後にした。





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