40/46
第40話 「利用規約」
余命いくばくもない妻のために何をしてやれるか。
男は妻を喜ばすためのショートショートを書こうと決意した。
男はWeb小説の投稿サイトに登録し、一生懸命投稿した。
人気はなかったが、妻は毎日、病室で楽しそうに読んでいた。
ある日、突然、男は投稿サイトにログインできなくなった。
慌てて男が運営に問い合わせると1通のメールが返ってきた。
『利用規約に違反する行為を確認し、会員登録を取り消しました』
「ごめんなさい、あなた!私が悪いの!」
聞けば、人気がなくて男が寂しそうだったので、妻が何人ものユーザー登録をし、偽りの高評価をつけたのだった。
夫婦の自作自演は運営にばれ、登録は抹消され、投稿作品はすべて削除された。
やがて、妻は失意のうちにこの世を去った。
妻の葬儀が終わった夜、夫は再び投稿サイトに登録をした。
世をはかなんだ夫は、当てつけに「遺書」を投稿し、自殺した。
その後、運営から1通のメールが送られてきた。
『公序良俗に反する投稿のため、会員登録を取り消しました』




