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第01話 「朝陽」
以前、未完で終わったSFショートショート集です。
今度は全46話、完結させます。
あいうえお順に読んで下さい。
完全に闇に包まれたビル街。
揺れる光のカーテンが立ち上がりゆっくりと広がってゆく。
マンションのベランダから私と彼女は夜空のオーロラを見上げた。
「素敵ね!」
ワインを飲んでほろ酔い気分の彼女は、私の肩にしなだれながら言った。
「北欧では古くから、オーロラは神と人間の世界を結ぶ橋と信じられていたんだ」
「神秘……的……ね……………」
彼女はワインに入れた睡眠薬で眠りに落ち、華奢な指先からワイングラスが落ちて砕け散った。
私は彼女を抱きかかえると寝室に運び、ベッドの上に静かに横たえた。
彼女は太陽の巨大な爆発、スーパーフレアが起きたことを知らない。
わざわざ怯えさす必要もない。
彼女はこのまま静かに眠らせてあげよう。
強い放射線と高エネルギー粒子に曝され、既に地球の裏側は壊滅した。
ここも間もなく、夜明けとともに太陽フレアが直撃する。
私は恋人が眠るベッドに腰かけ、静かに窓を見つめた。
「知ってるかい?オーロラを一緒に見た恋人たちは、一生一緒にいられるという……………」
朝陽が昇った。




