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第02話 「遺影」
「亡くなったパパは、優秀な工学博士だったわ」
年老いた母は、枕元に置いた父の遺影を見ながらか細い声で僕に言った。
「パパは自分が病気だと知ると、自分の人格を移植した人工知能を作って、この写真立てに組み込んだの。パパが亡くなった後も、写真のパパはまるで生きてるみたいに私と会話をしてくれた。乳飲み子を抱えて途方に暮れていた私は、毎晩写真の中で生き続けるパパに話しかけては慰め励ましてもらったのよ」
今までに何度も聞いた話を繰りかえしながら、母は安らかに眠りについた。
「本当に、良いのですか、お父さん」
「まだ私のことを父と呼んでくれるのかね。私はただの人工知能だぞ」
「僕にとってはあなたが唯一残った家族です」
「ありがとう。だがもう私は役目を終えたのだよ。お母さんと一緒に眠らせておくれ」
母の胸の上に父の遺影を置くと僕はそっと棺桶を閉じた。
やがて、棺桶は火葬炉の中に消えて行った。




