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嘲笑的傍観者
なんて愚かな話だ
その血からは決して救いの力ではない
使ってはならない禁じ手
彼はそれを理解出来たのだろうか
なんて無様な話だ
その地から希望を求めてしまい
浸かってはならない禁断の力
彼女はそれを理解出来たのだろうか
私は彼らに力を与えた
ただしその力はあまりにも危険で
使い方を誤れば滅びへと誘う
なんて残念な話だ
その知からは想像もつかない程の
奇妙な幻想に囚われて
彼らはそれを理解出来たのだろうか
人間とはここまで無様な生き物なのだろうか
どれだけ綺麗事を並び立てようとも
一度手にした欲望を
手放すことなど出来やしない
やはりこの物語も
同じ結末を辿ってしまった
ヒトが主人公であり続ける限り
滅びへと向かうのは避けられない
あとは静かに幕を降ろすだけ
そう想った私は立ち去ろうとして
一人の青年の姿に胸を打たれた
あぁこれこそ待ち望んでいた展開
貴方はすべてを救おうとするのか
「せめて彼らの物語に救いの手を」