軍事学校卒業①
草は生い茂り、木々が乱立しているこの森林地帯で、何かから隠れるように2人の男と1人の女が、互いに身を寄せ合って木の上に隠れている。さらに、3人とも周囲をやたらと気にかけてキョロキョロと辺りを見渡す。
すると、1人の男が静かに声を出した。
「アレク、サーニャ、敵を発見した。」
そう言うと、黙って指を敵の方に向ける。アレク、サーニャと呼ばれた2人は視線を指の先に向ける。敵は地上で3人の前を横切るように行進していた。
「敵の人数はこちらと同じ3人、陣形はトライアングル。サーニャの魔術で前の1人を叩き、俺とベインで後方の2人を各個撃破する。この作戦でどうだ?」
目線は敵に向けたまま、先ほどアレクと呼ばれた男が2人に作戦を提案する。ベイン、敵を発見した男と、サーニャ、この3人で唯一の女は無言で頷いた。アレクはそれを確認すると敵の背後から襲いかかれるように、ベインと共に木の上を伝って移動、サーニャは2人の動きと敵の動きを両立して観測。
やがて、アレクとベインが位置取りを終え、それを確認したサーニャは木の上から、敵の先頭の人間に向けて腕を伸ばし、両手を重ね、手のひらを向け、大きく深呼吸を行い心を落ち着かしてから大声で叫ぶ。
「ファイアボール!!」
開戦の合図と言わんばかり、手のひらから拳1つぐらいの大きさの火の玉が敵の先頭の人間に向かって放たれる。完全に不意を付かれたはずだが、敵はすぐに攻撃を察知し防衛体制を取った。
「ウォーターシールド!シャルルとルイは後方を警戒して!」
「「了解です、マリー様!」」
敵の先頭の人間、マリーは水の膜を自身の前に展開し、飛んできた火の玉をそれで消化する。続けざまにお返しと言わんばかりに今度は水の玉を飛んできた方向へ打ち返した。
後方では、木の上から急降下したアレクとベインが木刀を持って敵に襲い掛かる。敵の後方の2人、シャルルとルイは木刀を構え2人を迎え撃つ。
「げ、バレてたのかよ!?」
急降下しながらベインがぼやく。
「仕方ない、相手が一枚上手だった、全力でいくぞ!」
それにアレクが答える。その間に敵はすでに目前に迫っていた。2人は急降下の力を利用し渾身の一撃をお見舞いする。だが、ルイとシャルルはそれをあっさりとバックステップで綺麗にかわす。2人は勢いが付き過ぎたせいで受身を取り回転しながら、からくも着地に成功。さあ、戦いはこれからだ、と勇んで目線を上げ敵を一睨みしてやろうと視線を上げると、そこには突きつけられた木刀があった。
「あ、あれ・・・。」
ベインがまたもぼやく。アレクも顔に苦笑いを浮かべている。
「「勝敗は決しました。」」
それにルイとシャルルが同時に答えた。
「あら、そちらも勝敗は決しまして?」
ルイとシャルルが答えたのとほぼ同時に、2人の後ろからマリーと、その隣で、しょぼんとした顔でうな垂れているサーニャが現れた。ルルとシャルルはアレクとベインに向けていた木刀を下げ、マリーに向き直る。
「「マリー様、お疲れ様でした。」」
「おほほほほ、最終戦も私たちの勝利で終わりましたわね!」
マリーは、アレク、ベイン、サーニャに対して高笑いをした。




