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天逆毎篇 十章 バケットモンスター

  思わずつぶっていたまぶたをおそるおそる開けると様々な色が戻ってきた。

 久しぶりの緑、青、黄色、赤。その景色は少し前まで見ていた景色と限りなく近かった。

  いや、一つや二つ、違うところがある。50mほど先で子供がなんかバケモンと戯れていた。……バケモン?

  その風貌はまさにバケモン。多分モチーフは女性なのだろうが、天狗みたいな鼻をしているし、女性にしては体が大きすぎる。正直怖い。

 と、ととと、とりあえず急いで落ち着いて膜の外に出ないと。ってあれ?出られな…い?抵抗が強くなってる?なんでだろう。

 きっと多分もしかしなくてもあのバケモンのせいだろうか?それならどうする?アレをどうにかする?それとも交渉する?

 よく見ればあの子供、あのバケモンと戯れていると思っていたが、よく見るともっと暴力的な行為をしている気がする。

 ああ、そうか。あれは完全に殴り合ってるんだ。あぁ~暴力の音ォ~。

 助けないと!……でも…でも、僕に何ができるんだ?特に特別な力があるわけでもない、むしろ足手まといになってしまうかもしれない。決めるのは後にしよう、あの子供がどうにか出来たら僕の出る必要はない。

 わかっている!自分が時間稼ぎをして結論を先延ばしにしていることは。

 でも!でも、僕は、僕は、それでも怖い。死にたくない。

 その時、見たことあるような顔が見えた。よく見ればあの子供、つい最近話していたような。

 …!あの子供、もしかして。伶冶さん⁉あの人何してんだ。

 もしかして、僕のやつの対処…⁉ 

 それなら僕もやらねばならない理由ができた。

 人がやらないといけないけどしたくないときに必要なのは勇気でも愛でも友情でも何でもない。ちょっとしたきっかけだ。


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